自分が高校生の時なのでもう5年くらい前の話なんだが、その日、自分と姉と母親とで怪談話を持ち寄って、100物語のようなことをしていたんだ。
もっとも100話も話を用意していた訳じゃなかったし、所詮はその日やっていた「ほん怖」の視聴後に始めた、家族内でのプチ心霊パーティーのような感じだった。
そうしてワイワイお菓子なんかをつまみながらそれなりに盛り上がり、やがて23時くらいになって、そろそろお開きにしようかという空気になった。
「この話で最後にしよう」
そうやって最後の怪談話を母親が始めた。
多分地元の学校の「七不思議」についての話だったと思う。
話の内容はさほど怖くもなく、ウンウン言いながら自分達姉弟はそれを聞いてた。
「七不思議」のうちの6番目くらいに話が突入したくらいの時だったと思う。
突然家のインターホンが鳴った。
そのタイミングに三人とも一瞬酷く驚いたが、カメラで訪問者を確認すると、どうやら宅配業者らしい。
みんなして「なんやねんびっくりしたやんけ~」ってな感じで安堵しながら、自分が玄関に出た。
案の定ただの宅配だった。
その夜、凄い雨が降っていて、自分はさっさと荷物を受け取って家の中に入ってしまおうとしたんだが、業者いわく「代引き」だという。
実は自分の家では、通販なんかで何かを頼む時は必ず振り込みで支払いを済ませておく、というルールがあって、代引きで誰かが何かを頼むってことはまずなかった。
勿論誰かからの贈り物が代引きってのもおかしいし、「アレっ?」と思って、薄暗い中伝票をしっかり見なおした。
すると、自分の住所と伝票に書かれた届け先の住所が微妙に違っていた。
当時自分が住んでいたのは22番3号。伝票に書かれていたのは23番2号だった。
「あ、これ、うちじゃないですよ」
言うと、業者は「あ、ほんとですねどうもすいません」と言ってそのまま雨の道を帰って行った。
その時自分は特になんとも思ってなくて、家族のいるリビングに戻って「なんか間違いやったみたいやわ~」とだけ報告して、怪談話の腰も折れてしまったしということで、風呂に入ることにした。
問題はそれからだった。
風呂から上がった頃、何故か姉と母親が少し騒がしい。
先程までの怪談話にまた火でもついたかな?と思いながら、「どーしたん?」と声を掛けると
「○○(自分の名前です)、さっきのおかしくない?」という。
どういうことか聞いてみると、「なんでこんな夜中に宅配来るん?」ということらしかった。確かに言われてみればそうだ。
調べてみるとどの業者も配達は原則21時までのようだし、雨でずれ込んだとしても23時に訪問してくるような業者は流石にあり得ないだろうと結論に至った。
やがてさっきの人は本当にただの宅配業者だったのか?という流れになっていった。
そして思い返してみると、例の業者にはおかしな点がいくつもあることに気付いた。
まず、雨であるにも関わらず、業者に濡れている気配がなかったこと、配達の為の車や自転車もなく徒歩だったこと、業者の容姿は自分は直接、姉と母親はインターホンのカメラ越しに三人とも確認していたはずなのに、服装や顔など、具体的なことは何一つ記憶出来ていないということ……。
自分たちは三人ともなんだかとても気味悪くなっていた。
これで最後になるが、極めつけは、「住所」についてだった。
「23番ってあったっけ?」
自分たちは、そんな母親の一言で、怖いながら「23番2号」を確認しに、傘をさして住所を辿った。結果からいうと、23番地は存在したが、2号は存在しなかった。
しかも、奇妙なことに2号だけが抜けていた。
1号もあるし、3号もあるのに、何故か2号だけがない。
一層ぞっとさせられて、三人で慌てて帰った。
あの業者も、あの荷物も何だったのか未だに謎だし、
何故地元の住所、「23番2号」だけ抜かれているのか未だにわかりません。
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