猫探し

5年か6年くらい前の事なんだけど
俺の家は、おじいちゃん、母、俺、弟、猫の4人+1匹で暮らしてたんだ。
両親は離婚してます。

母子家庭なので母はスナックで働いてて帰宅は大体夜の1時~2時ぐらい。
とにかく母は飼い猫を溺愛で帰宅したら真っ先に猫を探すのよw
で、丁度今頃の季節に母帰宅、猫探す、いないってなって家族全員で家の中を捜索した。
家はマンションの3LDKで広くないからすぐ見つかるはずがいない。
どう考えても脱走したっぽいってなって母絶叫気味だったのよw

今まで完全に室内飼いだったから俺もかなり心配して早速懐中電灯持って弟と外に出て探したのよ
夜だから大きい声出して探せないから小声で猫の名前呼びながら探してた。
2時間ぐらい探して結局見つからず、俺は朝から仕事もあるし弟もバイトがあるからとりあえず中止にしてまた明日探す事にした。
 
で、次の日の夜弟がバイトが終わるのが遅くなるから今日は探せないって連絡があって
仕方なく俺1人で夜中さがしてたのよ
大体探し出したのが夜中の1時ぐらいだったかな
俺の家は結構田舎で夜中になると全く人が通らない。
でも俺は猫が心配でどんどん行動範囲を広げていったんだ
歩いて10分ぐらいのところで

俺「さすがにこんなに上まではきてないやろ・・・」

って思いながらふらふらしてたらトイレがしたくなったのよ
冬だから体も冷えてとりあえず公衆便所を見つけて入った。
その公衆便所の隣が墓地でもしかしたらお供え物を食ってるかもしれん!!
って意味のわからん考えが出てきて墓地に入っていったのよ

案の定猫はおらず冷静になって考えたら夜中に墓地で1人ってなったらちょっと薄気味悪くなってとりあえず出ようとしたんだ。
そしたら墓地の奥らへんから

ガサ・・ガサガサ・・ガサガサガ・・・・

枯れ葉を踏む音が聞こえた
墓地の周りは竹やぶで囲まれてて竹で出来た柵?
枯れた細い竹を組み合わせて作ったようなやつ
で竹やぶに入れないようになってるんだ
高さもあって2mぐらいかな?
だから上から覗くことができないのよ
まさか!?
って思ってゆっくり近づいて猫の名前をその音のするほうに言ったんだ。

俺「コタロー?コタローか?」コタローは猫の名前

そしたらガサガサ音がピタってとまった。
そしてゆっくり近づいてくる。

俺は間違いなく飼い猫だと思ってずっと名前呼んでたのよ。
夜中に墓地で竹やぶに向かってとにかく嬉しくてすぐにでも捕まえたかったんだけど脱走して警戒してると思ってずっと呼んでた

ただちょっとおかしい事に気がついたんだ。
どんだけ名前呼んでも鳴かない・・・
それにあまりにも動きがゆっくりすぎる・・・

俺「え?」

って思いながらちょっと戸惑ってた
でも名前呼んだら来るって事はやっぱり猫だと思ってゆっくり立ち上がってやさしく呼んでた。

そのやり取りが5分ぐらい
そうしてたら母から電話がかかってきた。

俺「もしもし?」
母「まだ捜してるのか?もう寒いし今日は帰っておいで」
俺「いや、もしかしたらコタロー俺の前にいるかもしれん!」
母「え!?なにがなんでも連れて帰ってきて!」
俺「まかしといて!」

それで電話を切った。
それから1分もしないうちに母から電話

俺「どうした?」
母「今弟ちゃんがコタロー連れて帰ってきた!!駐輪所の角で丸くなってたらしい!」
俺「え・・・?じゃぁ今俺に近づいてき」
母「あんたも早く帰っておいでや!」
俺「え?」

ブツ・・プープー・・・

俺の言葉を全て聞く前に電話を切られた
一瞬思った。

今・・・俺に・・・・・近づいてきてるのって・・・・なに・・・・・??
そう思ってる間も枯れ葉を踏む音はどんどん近づいてくる・・・

音が近くになるにつれわかったことがあった。
明らかに踏む音が大きい。
猫ぐらいの大きさならカサカサレベル
でも今目の前の音はグシャグシャって感じで完全に枯れ葉を踏み潰す音

猫じゃない
とにかく俺はその場から立ち去ろうとしてゆっくり後ずさりしてた。
そしたら竹の柵が揺れ出した
明らかに目の前の何かが柵を登ろうとしてる

バリバリバリバリいいながら柵が揺れる
逃げたいが震えてうまく歩けない
そしたらバリバリいってる音に混じって

はぁぁぁあぁぁはぁぁ

ってため息っぽいのが聞こえた
ヤバイっと思って懐中電灯放り投げてダッシュで逃げた
逃げ出したと同時ぐらいに後ろから

お・・・い・・・

とにかく俺はそのまま後ろ振り返らずに本気で走りながら家まで帰った。
それからはもうあの墓地に行ってない

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