私が学生の時の話です。
同じゼミに気の合う友人がいました。
なぜか気の合う友人で、よく飲みいったりするそんな仲でした。
ある日、なんだか神妙な顔をして彼が話し掛けてきました。
「変なモノが撮れたんだ・・・」
彼曰く、先週の飲み会の時に撮った写真の仲に変なモノが移ったという事。
その3日か4日後
彼は更に深刻な顔で落ち込んでいました。
目にクマまで作り、暫くの間、安睡できていないことは一目瞭然でした。
そう思った私は其の時湧き上がる嫌な予感を押し込めるようにして、彼にあの写真を見せてくれるように再度頼んでみました。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「わかった・・・」
何かを決意した彼は、やっとその写真を見せることを了承してくれました。
(本当に見ていいのか?)
彼の家で其れを見せてもらう事を約束し、その場を後にしました。
その日の夜、彼のアパートを訪れました。
「ピンポーン」
何度チャイムを鳴らしても、彼は一向に出てきません。
部屋の電気はついているのに。
(寝てるのか?)
そう思った私は、ドアのノブに手をかけました。
「カチャリ」
開いてます。
狭い部屋なので、ドアを開け部屋を覗いた瞬間、不在か否か確認できます。
彼は家を開けたまま、不在でした。
(いいよな、別に・・・)
灰皿があって・・・
燃え滓が残っていました。
・・・写真とネガの燃え滓です。
そして次に、その机の下に一枚だけ写真が落ちている事に気づきました。
その写真には異様なモノが映っていました。
彼の顔がねじ切られるようにグニャリとしたものになっているのです。
(禍禍しい)
一言で言ってしまえば、それ其の物です。
もう其処には一秒たりともいられませんでした。
彼は其の日を境に行方不明になりました。