お婆ちゃん

さとし君は小学三年生、大のお婆ちゃん子だった。

学校から帰ると、さとし君はいつも二階のお部屋からお婆ちゃんによばれる。
たばこのおつかいをたのまれるのだ。
五百円玉をわたされて二百五十円のたばこを買ってくると、残りのお金はさとし君へのおだちんだ。

やさしかったお婆ちゃん、大好きだったお婆ちゃん。
そんなお婆ちゃんが心ぞうの病気で、急に死んでしまった。
お婆ちゃんのお葬式が終わって、親せきのおじさんおばさんたちが帰ると、 家の中は急に静かになった。

さとし君は二階のお婆ちゃんの部屋に行ってみた。
夕日がさしこむ部屋の中には、お婆ちゃんが使っていたタンスや座布団がそのまま残っている。

「おばあちゃん」

さとし君は小さくつぶやくとタンスの一番下の引き出しをそっとあけてみた。
引き出しの中にお婆ちゃんが横になって、にこにこしながらさとし君を見つめていた。

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