Black Magic

本当にあった出来事なので多少ボカします。
東南アジアの某国に留学していた時の話。

東南アジア留学といっても全寮制で、授業も生活も全て英語で欧米有名校を真似た学校。
イスラム教国の第3第4王子なんかも、地理的文化的に近いこともあっていた。
(第1王子はさすがに本場の欧米に留学してたらしい)
男女合わせて200名ほど、日本人もその年によって5~10人いた。

留学から半年ほど経った頃、日本人女性Aちゃん(留学2年目)の様子がおかしくなった。
ホームシックかとも思ったけど明らかに変。
いきなり駄々っ子になって、泣くばかりで授業にも出られない。
そもそも英語を忘れてるようだった。
学校や寮の職員は日本語が分からないから、寮で休むAちゃんのフォローを日本人の私達がする事に。

2~3日経った頃、誰かが「幼い日本人の子供の幽霊に憑依されたんじゃ?」って言い出して、「まさか~w」とか言いつつ、みんなで探ってみることに。
オカルトを多少聞き齧った今だったら名前を聞いたりしちゃいけないって分かるんだけど、当時は無知。
「お名前は?」「いくつ?」「おうちは何処?」と質問攻めにした。

言動が幼い子供だったから子供に話しかけるように優しく。
たまに歌を歌うんだけど、聞いたこともない歌で昔の歌ぽいから年代の質問もした。
すると「××チエ」「5歳」「京都××町」と答えた。
Aちゃんはチエでも5歳でも京都出身でもない。
年代については年号や西暦を質問しても分からないみたいだから(西暦は当たり前か)、時代が分かりそうな質問をした。
「どんなお菓子が好き?」「それはいくら?」とか。

後になって調べたら、京都××町は実際にある地名なんだけど、その町内にある駄菓子屋さんの駄菓子が好きらしい。
値段は5厘、1銭という、今では消えた単位。
それで、どうやら明治~昭和初期らしいことが分かった。(範囲が広すぎるが、的を射た質問が思い浮かばなかった)

Aちゃん=チエちゃんは何か悪さをするわけでもなく、私達という遊び相手が出来て元気になったこともあり、その後、数日間はどうしたものかとみんなで悩みつつ、大した解決策も思い浮かばず、チエちゃんの遊び相手になりながら終了。

でも1週間ほど経ち、流石にこのままだとAちゃんが単位不足で留年するからマズイだろうと、他の国の学生にも相談することにした。
(当時はオカルト無知で、憑依によるAちゃんの悪影響とかは全く思い付かなかった。チエちゃんだけど元気になってたし)

それまでは日本語の分からない先生や学生には、ホームシックによる精神不安って報告してた。
憑依されたなんて言ったらAちゃんの立場が悪くなるんじゃ?という不安があったから。
因みに、チエちゃんはお手玉と童謡みたいな歌がとても上手で、悪さといえば、人形のように首が地面と水平にクククククっと後ろの方まで回って、こっちが勝手にビビることくらい。

話は戻って、私達の話を聞いたとある学生が、真顔で「Black Magic」じゃないか?と言ったのよ。
留年先の国は今でも土着信仰というか呪術師?祈祷師?みたいな人がいて、病気治療や困り事を解決するらしく、それを英語で「Black Magic」と彼は表現したのね。
お互い現地語が話せないから正式名称知らないし、「ぶらっくまじっく?ワロスワロス。平成の世ですがw」と思いつつ、日本人よりも少ないけど現地の子も学校にいたので、現地学生にマジシャンの事を聞いてみた。

現地や周辺国では超信じられてた。
イスラム教徒の学生も信じてる。
イスラムの教義に反しないのか?という疑問を持ちつつも詳しく聞いた。
今では流石に病気治療は病院に行くらしいけど、難病や障害ならその人を頼るし、占い師のように就職や結婚相談もするし、縁結びとか良い?おまじない?だけじゃなく、呪いを掛けたりもするらしい。

次の休日、現地学生の紹介で有名な呪術師の元に出掛けた。(学校には内緒、嘘の外出許可を取る)
チエちゃんは、日本とはかけ離れた現地の光景を見たら卒倒するといけないから置いて行く事に。
有名な呪術師は予約がなかなか取れないし、一見さんお断りらしいけど、そこは現地の子なのに欧米式全寮制学校の学生だけあって権力者の子供ばかりなので、コネをフル活用。

有名呪術師←(現地語)→現地学生→(英語)←留学半年~数年の日本学生なので分からない事も多かったけど、誰か(男)に片思いをしている誰か(女)が、(男)と結ばれるように(有名呪術師とは別の)呪術師に縁結びを頼んだらしいとの事。
(男)はAちゃんを好きだったため、Aちゃんに呪いを掛けたわけではないのに結果的に呪いが掛かってしまったと。
何故、遠く離れた日本の幽霊が憑依したのかは不明。

その後、呪い返し的な事っていうか、その蛇の神様に「もうおまじないは無効にして」とお願いしてくれた。
これができたのは、縁結びをした呪術師より私達の呪術師の方が力が強かったからで、向こうが最強だったらできない事らしい。
何度も言うが、イスラム教徒の多い国で蛇の神様ってアリなのか?と悶々としつつ、相談した呪術師にはそこまで見えてるのか?!と驚いた。
この時点でまだ半信半疑だけどね。

長くなったから手短かにする
ごめんなさい

寮に戻る。
先生達に内緒で学生集合。(チエちゃんは爆睡中)
様々な国の学生が100人くらい集まったかな?
呪術師の話を現地学生が報告。(又聞きの日本人がするより正確なので)
某国の隣国からの留学生Bちゃんの様子が…お前だったのかー!

B「ごめんなさいー!C君の事が好き過ぎて、卒業して遠く離れる前にどうしても婚約したかったー!」
C「そういえば!!Aちゃんがずっと好きだったのに、最近Bちゃんが毎日夢に出て来て気になり始めてた。夢で●ッチしちゃったよ…」

Bちゃん、C君ともにイスラム教徒なので、付き合う=婚約結婚だし、夢でも●ッチは重い事らしい。

その後、爆睡から目覚めたAちゃんは何事も無く復活。
チエちゃんの記憶は無いらしい。というより、一晩寝ただけみたいな時間の感覚らしい。
チエちゃんは消えてしまった。成仏したと信じてる。

Bちゃんは一気に老けてた。
恋愛成就のおまじない?呪い?は、10年の寿命(10歳分の身体と見た目の若さ)と引き換えなんだってさ。
成功してたらそれでも良かったのかもね。

C君は夢も見なくなり、その後Aちゃんと結ばれる事もなく卒業して帰国。

何が怖いって、呪術が本当にあるってことと、その国だけかもだけど神様に頼むと何か代償がいるってこと。
あと、縁結びってWhite Magicのようなイメージだけど、ライバルがいた場合は、そのライバルに悪影響を及ぼすBlack Magicになっちゃうんだなということ。

霊感ナシ、オカルト知識ナシの私の話なんてつまらないと思いましたが、実は10年と引き換えにでも叶えたい事が出てきたので、誘惑に負けないように当時の事を書いてみました。

ほんのりと怖い話107

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