ぶらさがる腕

昔子供の頃、俺と兄貴は同部屋の2段ベッドの上下で寝ていた。
ある夜、ふと目が覚めると、ベッドの柵の外に腕がだらんとぶら下がっている。
たぶん兄貴が寝返りうつうちに、外にはみ出しちまったんだろうと・・・そう思ってもう一度寝なおそうとしたんだが・・・

よく考えたら、今日は俺上段の方で寝てるんじゃん。(毎日どちらが上で寝るか、壮絶なじゃんけん勝負が行われる)
んじゃ、この腕は・・・?

そこまで考えて、とてもじゃないがそのまま寝てることもできんので、腕がぶら下がってる頭側じゃなく、足側から飛び降りて下の兄貴に場所交代してくれるように頼んだ。
ぶつぶついいながらはしごを上る兄貴には見えてないようだったが、天井から生えた手はその間中兄貴の体中を這い回ってた。
それ以降その腕を見ることはなかったが、俺はもう上段で寝ることは出来なかった。
そして、その原因も誰にも話さなかった。

兄貴は、次の年に事故で死んだ。
たぶん偶然だろうが、もしも、もしもあのときのあれが原因なら・・・
俺は、兄貴になんて謝ればいいんだろう。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?117

シェアする