とある物件

今から7,8年くらい前のITバブルとよばれていたころの話です。
私が学校を卒業し、新卒でとある自称IT関係という会社Aに就職いたしました。

当時私は就職活動をてきとーにしすぎて、3月くらいまで職がない状態で、会社Aから内定通知がきたとき、わたりに船!! なんてついているんだろう、とまぁ 大喜びをしておりました。

会社Aというのは、設立10年ほどのちっさい会社で、大阪市内の雑居ビルのなかに事務所を抱えており、社員は 私を含めて 20人ほどの会社でした。

新卒は私を含めて5人、設立いらい初めて新卒者を取ったということもあり、社長含め会社全体でものすごく歓迎していただきました。

IT関係とひとくちにいって業種は幅広いものです。会社AがおこなっていたIT事業というのはPCのセットアップやソフトのインストール等でした。

↑PCをあるていど知っている人間なら、できる代物です。当然のことながら、まともな売り上げなんかあがるわけはないし、大手の企業もやっているのでかなりきびしい状況でした

そんな中で私が配属されたのがIT推進事業部、部といっても6人程度、新卒者は全員この部に配属され、研修を受けておりました。

1ヶ月ほどたったときに配置転換が行われました。
新卒者の適正や希望などを考慮して再配属するとうやつです。

私自身はPC系の専門卒者であり、ほかの新卒者よりもPCに詳しいということでIT事業部にそのまま残る形になりました。

ここでまぁ衝撃といいますか、違う部署にうつった人間から面白い話をきかされました。

会社Aというのは、現在IT関係をメインにやっていこうとしている会社だが、売り上げのメインは 金融および不動産仲介 元々は金融会社だったと。

ここで誤解されるとまずいので補足しますが、怖い金融会社ではありませんでした。
社長は、ビジネスとしてのIT系のビジョンをもっており私たち新卒者をいずれIT系の主力としてがんばってほしいといっておられました。

とまぁ混沌とした会社でした。
会社にはいって1年ほどたったときに、この会社Aの命運をきめる自体が発生いたしました。

不動産仲介業 私自身はこっちの業務はまったく無知です。

会社の中堅のTWさんが、市内のとある物件をあつかったというのが原因のようです。

何がおこったかというと、結果からいうとこの物件にかかわった人間 私含めて全員怪我とか不幸が多発しました。

私(リーマン1号)は左足がやや不自由
同期の人間 YT 左半身不自由
同期の人間 MK 左手指3本切断及び身内に不幸
中堅 TWさん 行方不明
中堅 SYさん 左足を大怪我及び身内に不幸
中堅 WMさん 事故でお亡くなりになられました
社長 莫大な借金と保証?で行方不明

そのた経理の方とかが 左目にできものができたり 左手をけがしたりめちゃめちゃくちゃでした。

事の流れはこうです。
世の中が Y2K 2000年問題が近いと騒いでた夏のころでした。

会社の中堅TWさんが、知り合いか友人かなにかの不動産物件の委託をうけたそうです。
この方は社長とも顔見知りで、よっしゃよっしゃで引き受けたそうです。

中堅TWさんに新入同期のYTが部下みたいな形でつくことになりました。
YT自体は営業畑希望でTWさんが この物件を俺に任せるといってくれたよと喜んでたのを覚えています。

YTが色々営業などでこの物件を売り込んでたようですが、一向に売れなかったらしくだいぶ苦労してた。
みたいです。初めて任された物件ということもあり、こまめに管理業務などもおこなってたようです。

最初に事がおこったのがたしか 秋ぐちだった思います。 
YTが出社してこない 家に電話しても、携帯に電話しても 連絡がとれないということで大騒ぎになりました。

中堅TWさんはどういう理由でその物件にいったのはしりませんが、その物件(一軒家)の中でYTが倒れているのを発見した。

詳細ははぶきますが、YT(直接本人からきいた)がその物件を見に行った。 
いろいろチェックして帰ろうかというときに、猛烈な眠気に襲われて眠ってしまった 気がついたら病院だった。

YT自体は元気でしたが、脳に出血があってそれが原因で倒れて左半身に障害がのこるという結果になったということでした。
それが理由になりYTは会社を去ることになりました。

中堅TWさんはひどく落ち込んだようで、俺が一緒にいればといってたのを覚えてます。

その物件の管理業務をMKが引き継ぐことになりしばらくして、社内でMKが病院に担ぎ込まれたと騒ぎになりました。

詳細はMKがチェックを終えて帰ろうとしたしたとき、門で指を挟んで飛ばしたということでした。

なんでもない事故のようでしたが、また例の物件だったということもあり、あそこなんかいるんじゃね?とまぁ話題にのぼりました。

MK自体は手術ですぐに接合したということもあり、左手が使いにくいといいながらも会社にはきていました。
事故原因は、くつに汚れがついてるのをみつけて、拭こうとしてこけない様に 何気なく左手で門をにぎったら、自分の体重で閉まってしまって指をとばしたということでした。
しばらくして、田舎の両親が不幸になり、家業をつぐからと会社Aをさりました。

うわ、、かなり長くなりそうだ、、 やめたほうがいいでしょうか。。?

あとで聞いた話ですがMKの田舎の両親は車の事故で、車と遺体が原型を留めてなかったそうです。

そのときはその物件がどうというのは誰も真剣に考えませんでした。

YT、MKと3ヶ月ほどで社員が2人もへり社内はちょっとした混乱が起こってました。
そこのときに例の物件の管理は中堅TWさんに移っていたようです。

新年を向かえ、社員一同が仕事始めで社長の挨拶を聞くために集まりましたが、中堅TWさんの姿はこのときにはありませんでした。

しばらくして私の上司にあたるSYさんに、「TWさん最近みかけないっすね?」と何気なく聞いたことありましたそのときの返事は「年末で退職した」
ひどく驚いたのを覚えております。

1月が終わるか終わらないかのころ、社内の経理や総務の人間がやたら眼帯や、左手に包帯をまいていて、社長が正月気分が抜けてないようだから気を引き締めるように!!と通達してたのを覚えています。

そのころに上司SYさんからIT住宅というのはどうだ?というのを聞かされておりました。
ようするに 会社Aの不動産物件にIT関連の設備をつけて売るということです。
SYさんは「まだどこもやってない新しいビジネスになる、成功したら うはうはだぞ!!」
リーマン1号「うはうはですか?もしかしてあんな事やこんな事も うへへへ」

元々私は貧乏人の子せがれで一攫千金のプチ野望をこのときは抱いていたので、光通信や館内LAN等を詳しく調べてIT住宅案件というのをSYさんと一緒にやることになりました。

2月の初旬にはSYさんから、例の案件 社長がGOをだしたのでやるぞ、ということで、モデル物件に足を運ぶようになりました。

新築ではお金がかかり過ぎるため、すでに建っている物件に、LAN配線をするというのが大まかなプロットです。
今となってはどこでもあるような物です。

このモデル物件が例の物件でした。。
当初私はまったく知らされていませんでした。
おそらく 社長はうすうすおかしいと気がついてたんじゃないかと思います。
早い目に手放すために、この物件を候補にあげたような気がします。

普通の建売住宅で 白い壁の外観 2階建て 車一台がとめられる駐車場と、どこにでもあるような家でした。
SYさんと物件をみながら、どこに何をつけてどういう配線をするかなどを話しておりました。
無論霊感なんぞ1ミリもありません。

今でも日にちをよく覚えてます
2月13日 2回目か3回目にその物件にいった時です。
私は屋内配線をするためにその家の壁材やら柱と柱の隙間など図面をもって調べてました。 しばらくしてなにやら外でSYさんが大声で叫んでるので、そとに出ました。
見た光景が SYさんを中心に血の海、SYさんが大声で泣き叫んでました

「医者、医者ああああああああああ お前殺すぞああああいhjj@ll;;」
私は大慌てで救急車を呼び、会社に連絡して病院に付き添いました。
SYさんから後で聞いたのですが、家の外まわりを見て回ってると、私がSYさんを呼ぶ声がする、表のほうにいくと見当たらない。。
家の上のほうから「おーい うぉぉぉい」と聞こえたそうで上向くと アンテナが折れて落ちてきた。

八木アンテナてやつですか、、左足太もも数箇所に穴をあけて貫通してささった状態に。。

それから2,3日はいろいろごたごたあってその物件のことを忘れてました。
アンテナの老朽化による事故で片付けられました。

SYさん自体の怪我はまぁ結構きつい状態でしたが例のIT住宅案件は進められるという感じで、たしか2月18日あたりに
「リーマン1号、あの案件すすめろ おれはちょっとまだうごけないがWMが協力してくれるから、見積もりあげて来い」と命令されました。

2月19日
WMさんと一緒に例の物件に行きました。
まだ玄関に血の跡が残っていて、WMさんが
「すげぇな 血が乾くとこんな色になるんやな アンテナも修理やな リーマン1号これ一回きれいに水かなんかで掃除しないと、変なうわさ立つかもな あははははは」

私は「へんな噂てただの事故ですよ、よってぽどYTとMKがかかわってた物件のほうが怪しいですよ」
WMさん「?なにゆってるん? それここやで お前しらんかったん?」
私「ええええええええぇえ は?は? ここぉ??」

私はSYさんから聞いた話をWMさんにその場で話しました。

WMさんは「うーーん。。おかしな話やなぁ。。そういやTW おぼえてるか?」
私「年末に退職したてSYさんからききましたけど?」

WMさんはにやにやしながら、
「あれな 退職ちゃうねん ほんまはな、行方不明」
「年末にTWから電話が一本あってな ちょっと寄るところあるから遅れます てな、それから連絡なし奥さんも捜索願いだして会社の方にも警察きてるで、もちろん社内には秘密」

私「・・・・まじすか?この物件が原因ですかね?」
WMさん「そんな非科学的なことあらへんよ ここ事故物件でもないし 全部偶然でしょ」

2月19日
そんなこんなでWMさんとその物件で後始末やら準備をしていました。

LANに詳しいかたならお分かりになると思いますが、LANを屋内に這わすときにコンセント形式が使いやすくて便利でして、ローゼットというものを使用します、電源タップに近いものだと思ってください。

私は各部屋にローゼットを設置するための場所きめをしておりました。
そろそろ終わろうかなと思っていた矢先、2FからWMさんが「おーい おーい」と呼ぶ声が聞こえたんで、階段をとんとんと駆け上がった瞬間に なんでしょうね 突き飛ばされたというか、壁にあたった。
というかまったく予期してない方向にバランスをくずしたんです。

階段から後ろにこけて首をグキリというか ごりっというか バクテンを失敗したような状態で落ちてそのあとにおなかを階段の段のかどっちょに。。なんでしょうかね、大根おろしを擦るような感じですね、ごりごりて感じです。 
床まで落ちたあとに 背中になんとも表現しがたいものすごい痛みが ビキッと走りました。 

2Fの階段上から1Fの床に叩きつけられて、すぐにおきようとしたのですが、頭と背中にとんでもない激痛がはしって、人間 こういうとき声がでないんですよ。 
口をぱくぱくしてると1Fの奥からWMさんが出てきて
「なんの音や?! どーしたんや リーマン1号?!」

情けないことにその場で失神してしまい 気がつくと病院でした。
頚椎の捻挫及び、椎間板ヘルニアこれが私の診断結果です。
医者には階段から落ちた程度では普通こんなんにならないよと言われ、1ヶ月近く入院するはめになりました。

今はほぼ回復しましたが、椎間板ヘルニアで左足神経を圧迫して最終的に左足に痺れが残る形になっております。

3月半ば私が病院を退院して 松葉杖をつきながら会社にいくととんでもない事になってました。

ちょっとでかけることになったので簡単にまとめます。
詳細はよるにでも書きます。

3月半ばに私が退院→出社
出社した日に4月に会社を解散して自主廃業しますといわれました。

この時点でSYさんは退職 WMさんは事故で急死 社長は行方不明。
他6人が退職済み。
私を含めのこっているのが8人 半年で半分以下になっておりました。

詳細です。
3月半ば私が病院を退院して 松葉杖をつきながら会社にいくと看板がなくなっていました。
社内にはいると、半ばかたづけられ 閑散とした風景が目に入ってきました。
私が驚いて中をみわたしてると、すぐに専務のところにきてと呼ばれました。

応接室。。応接室だった場所に専務と経理の偉い人がまっており、すぐに
「大変だったね 退院おめでとう 大変もうしわけないんだけど 会社廃業することにきまったから。。 きちんと退職金とかはできるだけ出すから。。本当に申し訳ない」
私「倒産ですか?何があったんでしょうか?」

専務が「倒産というか今の会社の状態ではもお営業が続けられないのよ」
とこんな感じでやり取りをしました。

専務の話を要約すると、私がアクロバチックな事故で入院した後、SYさんとWMさんが例のIT住宅案を進め、工事完了2月後半には売りに出すというところまでこじつけたそうです。

そのあとすぐにWMさんが単独事故を起こしお亡くなりになったそうです。
場所とかは聞いていませんが、運転中の心臓発作が原因と聞いてます

SYさんのほうは奥さんが病気との理由で3月前半にいきなり退職したそうです。

あとに残されたメンバーが仕事を引き継いだようなのですが、この時点でもお社内では色々なうわさが飛び交って どうしようもない状態になってたようです。
私が入院しWMさんがお亡くなりになったときに新入社員含め6人が怖いのでやめさせてほしいと退職願をだしたそうです。

最後
社長は夏からつづくトラブルに精神的に追い詰められてたようで専務にすべてをまかせると言い残して、連絡がとれなくなったそうです。
残ったメンバーと話し合い専務は自主廃業を決めたそうです。実際にはいろいろとあったようなのですが細かいことはわかりません。

そんな中で私の最後の出勤日をむかえ、私と他4人で焼肉にいくことになり、例の物件の話をききました。

私「やっぱりあの物件なんかあったんでしょうか?」
Aさん「そうじゃないんじゃないかなぁ。。。」
私「なんでです? あれ扱ってからおかしな事がつづいて 会社もなくなった そんな気がするんですよ」
Bさん「うーんまぁいいか。。最後だし。。実はね あの手の奴はあの物件を扱う前からちょくちょくあったんだよ。。」
私「は?人が怪我したり、えらい目にあうってことですか?」

話を要約すると、今の会社Aの前 社長が独立するまえに勤めてた金融会社が俗にいうそっち関係で、死人がでたりとかなりキツイ商売をしてて、その金融会社にも似たような事件が起こったそうです。

社長はそれが怖くなったのとその商売のやりかたがどうしても納得ができなくて、独立することにしたそうです。
社長を慕ってついてきたのが専務とTWさんSYさんと何人かの創設時のメンバーだったそうです。
例の物件は 前の金融会社のときの知り合いから紹介されたものだったようです。

物件自体は普通の代物で、違う会社に移されてからは何も起こってないらしぃです。
Bさんいわく、あれで前の会社と接点もったのが原因じゃないかなぁ金融屋て、身に覚えのないところでうらまれることたくさんあるからねとおっしゃってました

はっきりした原因はいまだにわかりません。
もしかしたらただの偶然が重なっただけかもしれません。
私自身は今は他の会社に勤めてますそのあとメンバーがどうなったまでは知りません。
あの物件が原因だったのか、前の金融会社が原因だったのか、、、それとも他にあったのか。

長くて申し訳ありませんでした。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?104

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