法事のとき、叔父に聞いた怪談。
叔父の家の近くに、今は閉店して廃墟のようになったスポーツ用品店がある。
その店の主人はかなり前に癌で亡くなったのだが、大勢の知人たちに借金をしたままなのを死ぬ間際まで気にしていたらしい。
今でも夜中にその店の前を通ると、小太りの主人が店の前に立っている。
汗をかきながら禿げ頭を下げ、
「すんまへん、来週返しますさかい、すんまへん」
と呟いているらしい。
陰気な声で叔父の話は続いた。
「まあ、ゆうても害の無い幽霊や。無視して通り過ぎてもええのやが、一言だけ『いや、貸してへんがな!』とツッコんでやったらええ。ほならスウッと消えよる。貸した人数分だけツッコまれたら成仏しよる。」
ほんのりと怖い話49