高知県に心霊現象でちょっと話題になった楽器店があるんだけど、どうやら置いてあった(飾ってた?)ギターに何か憑いてたらしい。
えらく古いクラシックギターで、ボディに縦2㌢、幅5㍉くらいの亀裂が入ってしまってた。
もちろんいい音なんか出なくて、格安になってたのを店長が買い付けたそうだ。
海外で入手したらしくて、かなり古そうな、飾りにはいいギターだった。もちろん修理すりゃいいんだけど、まぁそこまでの価値があるものでもなく、見た目は(亀裂除けば)いいんで、好きな香具師は買ってくれ、的な値だったとか。
が、そのギター飾ってから、客が変なこと言うようになった。
自分以外の客はいないはずの店内で、飾ってあるギターとギターの間に人影が見える、と。
楽譜コーナーの本棚の向こう側に、足が見えたのに、誰もいなかったり。
清算の時に、ふと自動ドアに映った自分を見ると、自分に重なるように誰かが背後にいるのが見えた、なんてちょっと怪しい話まで出だした。
ただの見間違いかな?もいくつも集まれば噂になる。
好奇心から訪れる客も少なからずいたんじゃないかと思う。
そんなある日、突如店は閉店した。
聞いた話だと、例の亀裂の入ったギターを気に入った香具師がいて、手にとって 見てたそうだ。
店長は、飾りで割れてるから品物にならないよ、と言ったらしいが。
言われた客が、ふと思いついて、ホールから亀裂を覗いてみると・・・
亀裂の向こう側から、誰かが覗いていたそうだ。 ぴったりギターに顔を寄せて。
血走り、見開かれた目が、亀裂いっぱいに覗いてたんだと。
今はもう、楽器店は跡形もない。
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?87