4年生

自分には3個違いの兄がいて、小さい頃はかなりの暴れん坊だった。ジャイアンをちょっと陰険にしたような嫌なガキで、当然みんなから嫌われていた。
でも喧嘩が強いので何人か取り巻きのような友達がいて、力の弱い子を見つけてはイジメていた。

そんな兄を見かねて、近所の坊さんがした話。

坊さんの父親(仮にAとする)は、かなりいじめっ子体質だったらしい。学校でも恐れられた存在で、気に入らない子がいると速攻イジメ。
特にひどかったのは小学4年の時、時には暴力を振るったり公園で全裸にしてみたり手首足首を縛ってプールに投げ込むなんてこともやっていたらしい。

そんなことを繰り返すうちに、ついには自殺者が出た。短い遺書を遺したその子は、あからさまな信号無視で車道に飛び出したのだとか。
遺書には両親への謝罪と妹へのメッセージ、そして最後の願いとやら。

「僕のお葬式はAくんのお寺でやってください」

両親はイジメのことは何も知らなかったから、その通り息子の願いをかなえてやった。
Aは気味が悪かったけど、その子の最後の復讐だろうと考えて、鼻で笑ったそうだ。
そして遺族の頼みで、まだ修行も満足にしていないAくんも読経に参加した。遺族は喜んで帰っていった。

それから何十年か経ち、結婚して子供が出来、寺を継いで幸せに暮らしていたA。
しかし、息子が小学4年になったとき、急な脳溢血であっけなくなくなってしまったらしい。

住職はそれを話すと、ニヤニヤ笑って
「これは呪いよ。○○くんも大概にせんと、呪い殺されてしまうけえ気をつけんさいや・・・」と言った。
兄貴はびびって、イジメを辞めた。

そしてその後、住職は子供が小学4年になった時事故で死んだ。
兄貴はびびって、今までイジメてた子全員に謝った。
そんな兄は現在26歳、子供は小学3年生の女の子。

「無事に4年生見れたらええねえ」
とこないだ無駄口を叩いたら本気で嫌そうな顔をされたので、多分いまだに怖がっているのだと思う。

ほんのりと怖い話55

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