行方不明者

祖母の昔語りで聞いたこと。

いつの頃からか分からないが、ある地区の言い伝えによると、祭りの後には何故か、必ずといっていいほど一人の行方不明者が出ていたそうだ。
行方不明になるのは決まって年頃の青年だという。

毎年、夜祭りの神楽の最中にいなくなった?と思われるが、夜神楽の最中には村人が全員、神社に集まっているはずだし、小さな山村なので都市部の祭りのように、外部から縁日の興行や見物客が来る事もない。
幼い子供ならともかく、ある程度成長して力も体力もある男性が、なぜ簡単に行方不明になるのだろう。
ましてや、若い男は農家にとって貴重な働き手でもあるはずなのに?

その集落では◯◯◯さまという土着の神を祀っているそうだけど、ネットで検索しても◯◯◯さまの詳しい情報は出てこないし、祭祀の内容などもよく分からない。
口減らしや生贄でこっそりと…という想像が当てはまらない所に、嫌な感じのリアルさがあって、より不気味だと思う。

山にまつわる怖い話64

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