怖い話っていうより不思議な話かもしれん。
母親が小学生のころ体験した話。
母親には当時結構仲のいい友達(Aちゃんとしておく)がいたんだが、夏休みのある日に、Aちゃんの家に遊びに行ったそうだ。
玄関をノックすると、Aちゃんの母親がでてきた。
「Aちゃんいますか?」とうちの母が聞くと、Aちゃんの母親は「Aならさっき部活から帰ってきたところ。台所で水飲んでるの見たから、ちょっと呼んでくる」と答えて、家の中に戻っていった。(Aちゃんは小学校のソフトボール部に入部していた)
ところが数分して、Aちゃんの母親だけが戻ってきた。
Aちゃんが家のどこにもいないという。
最初はAちゃんの母親の見間違いじゃないか、って話になったんだが、Aちゃんのおばさん(一緒に住んでた)もAちゃんが水を飲んでたのを見たって言う。
結局、Aちゃんは水を飲みに部活から一旦帰ってきて、また部活に行った、ってことで落ち着いて、母親は家に帰った。でも、Aちゃんの家から小学校まで歩いて40分はかかるのにわざわざ帰ってくるのか、と母親は不思議に思ってた。
それから数日して、母親は再びAちゃんの家に遊びに行った。
そのときにはAちゃんはいた。Aちゃんの部屋で遊んでいるとき、母親はAちゃんに、なんでわざわざ家に帰ってきたのか聞いた。
するとAちゃんはこんな風に答えたそうだ。
「それお母さんにも聞かれたんだけどね、あたしずっと学校にいたんだよ。あの日はすっごく暑かったんだけど練習があったから水も飲めなくて、ほんとに喉がかわいて大変だったんだ。飲めたら飲みたかったよ、水」
うちの母親はオカルトとかそういう話は信じないタイプで、不思議なことがあっても何かしらの理由をつけて納得しちゃうタイプなんだけど、この話だけはどうにも納得がいかないそうだ。
ほんのりと怖い話64