黒い人影

先週の朝、出勤時に黒い人影を見た。

場所は橋に登る道と堤防沿いの道に合流するための道との分岐点。
車線が一時的に増えるんで、中央分離帯みたいなものがあるんだけど、そこに人影があった。
ちなみに近くに歩道橋もあれば横断歩道もあるんで、余程急いでなければ普通そんな所に人は入らない。

まあそれだけなら別に怖くもなんともないんだが、その人影が異様だった。
真っ黒だった。
全身黒尽くめとかそんなレベルじゃない。
例えば影だったら影が映っている場所の地色とか、あるいは他の場所からの反射光で微妙に薄くなるけど、その人影は完全に黒のみ。
黒以外の色がない。
その時は普通に素通りしたし、ただの錯覚だろうと思っていたんだが、その後また見た。

時間は以前見たのとほぼ同じ時刻。
ただ場所が橋を渡った向こう側の同じような条件の場所だった。
二回目となるとさすがに気になってちょっとだけ観察した結果報告。

形としてハッキリ解るのは帽子を被っている事。
つばが大きいので、多分麦わら帽子とかそんな感じのもの。
それ以外だと髪が多分肩辺りまであるんじゃないかと思った。

服はわからない。
ただ、体格からして子供か女性じゃないだろうか。
少なくともやや小柄な成人男性である俺よりも小さいような気がする。
それ以外の情報はまるで読み取れない。
目や鼻や口があるはずの部分も黒すぎて凹凸すら解らない。

結局その二回だけしか見てないけど、なんだったんだろう、あれ。

ほんのりと怖い話65

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