海上の影

東北在住。
毎年、晩夏から初秋にかけて某一級河川にて毎年投網で鮎やカジカを獲っているのだが、時折よくわからんものに出くわすことがある。

オレが網を打つのは大抵夜8時過ぎ頃からなのだが、水深30CM程の浅瀬で網を打っていると、いつの間にか10M程のところに人影のようなものが立っている時がある。
何をするわけでもなく、身動きもせずにじっと立っているだけのものなのだが、オレに網打ちを教えてくれた祖父からは、そいつに出会ったら、声をかけたり、ライトで照らしたりは決してしてはいけない。

また、出会ってしまった日には、そこで網打ちは切り上げて、家に帰るように教わった。
帰る際には、どんなに大漁の日でも、その日の獲物は全て川に置いてゆかなければいけない。とも。

その正体やいわれについては何も教えてもらわぬうちに祖父は他界してしまい。
一人で網打ちをするようになって数年になるが、未だにアレがなんだかはわかっていない。
全く出くわさない年もあれば、年に二度出くわしたこともある。
出くわす場所も同じではなく、どういった法則で出るかは未だにわからない。
ただ、オレと、出くわしたことがあるという従兄の場合、二人以上の時は出ないようで、今までは必ず一人の時に出くわしている。

獲物を手放さなければいけない(それも本当にしなければいけないのかはわからない)以外は、気味が悪いでけで害があるわけでもないので、今年もその川に行くであろうが、あれが一体何なのかは、気にはなるところである。置いてけ堀のようなものかと自分では解釈しているのだが・・・。

ほんのりと怖い話66

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