四人組

五年まえの自衛隊時代の出来事です。
当時は入隊二年目でそこそこ真っ暗な山の中での演習や一人での歩哨(見張り)なんかもビビることなくできるようになりました。

元々幽霊とかなんとなくいるんじゃないかなーとりあえず怖いのとかは絶対やだなーッて感じだったんですけど、霊感?はなかったので見たこととかはなかったです。

とりあえず、その時は高台にある雑木林の中の広場で通信所を開設して四人で運営してたんだけども、そのうち、ゲリラ(訓練上の敵役)がでたぞー!ってなって、内二人はペアで歩哨に出掛けもう一人はゲリラの通報が来た途端に電話線が使えなくなったもんで、回線チェックへ旅立ちました。そして残ったのは自分一人…

とりあえず、まぁ余程のことがない限り機材は異常出さないので外に出て、広場の入口に掘った穴に隠れてもしもゲリラが来ても対処できるように待機。
ちなみに他の広場へつながる道は有刺鉄線と小学生とかが持つ防犯アラームと釣り糸で作った即席罠線で、ガッチリ固めてあるから何かあれば有刺鉄線に引っかかるか、アラームが鳴るのおk。
つまり、真っ暗な山の中で安全に通れるのは見張ってる道のみなのです。

そして、星空見ながらボーッしてたら足音がしてきました
ちなみに自衛隊では、こういう相手が暗闇等で敵か味方かわからない時は「誰か!?」と誰何します。味方なら所属と名前聞いてから、合言葉を交わしておk。
敵とかだと捕獲するか…まぁ、察して下さい。
人間暗闇でいきなりドスの利いた声で声かけられると体が硬直するもので、自分が隠れてる穴を通り過ぎたくらいで越えをかければ、後ろをとれるし広場に逃げられても有刺鉄線etc…
で逃げ道がないので捕獲できるだろうと思い、wktk待機。

そして、ぼんやり輪郭が見えてきたのが四人組でした。
一人と四人でちょっと面倒だなと思ったんですが、誰何しないわけにもいかず、通りすぎたくらいで「誰か!!!」と声掛け。
そうすると、前から二番目がぼそぼそッと何やら所属と名前をいう。
あんまり聞き取れなかったけど、演習参加の部隊名とは違うニュアンスだった。とりあえず、

あらかじめ決めてある合言葉さえ合えばおkなのでとりあえず聞く。
そしたら、わからないとかいうのでとりあえず穴から出ようとする。
とりあえず、相手四人なので一人ではないよアピールで、「〇〇は後ろで援護、その他は待機」といってみた。

そして、とりあえずすぐに逃げられないようにうつ伏せにさせて最初に答えたやつに聞きに行くとなんか違和感があったのをすごい覚えてる。
なんだか、夜の山にしても星も出てるのに輪郭がはっきりしない感じがしてて、なんだろうとか思ったけど、とりあえずどこの部隊なのかもっかい聞いてみる。
そしたら、演習の統制班(訓練を評価する人達)とかなんとか言って、通信所の様子を見に来たとかいうので開放。
そしてそのまま広場の方に向かったのね。その人達。

そしたら、違う方からバンバン空砲の音がしてゲリラ対処が始まったからそこから動けなくなってしまったので待機。そして一時間ほど経過…
さっき通り抜けた連中が帰ってこない。
何回も言うけど、見張ってる道以外に通れるようになってないのでアラームか有刺鉄線に引っかかってるはず。
でも、そんな気配がないので大丈夫かと心配になってきた時、出かけてた三人が一緒になって帰ってきた。

で、とりあえずそのまま見張りを30分続けて何もなかったら戻ってきてと言われたのでそのまま待機。
で、どっかいった四人組を探しても見つからないので先に戻っていた三人に聞いてみたら、そんなの見かけてないぞとのこと。
みんなして、あれー?って感じになってたけど、他に色々やることが出来たのでそっちにてんやわんやして一旦忘れる。

演習後にその話を年配の陸曹に話したら、その高台の広場って先に行くと谷間のような場所があるらしく、昔、そこで戦車の横転して谷間に落ちる事故があったらしい。
ちなみに、戦車って乗ってる中の一番偉い人を車長って言うんだけど、その車長って人はハッチから半身を乗り出して外の状況を見ることがあるんだけど、その状態で落ちて投げ出されたその上に戦車が落ちたらしくグチャグチャになったとか…

その話聞いてから、もしかしてあの四人って戦車に乗ってた人達の中なのかなって思います。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 94

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