10年前くらいの話
当時俺18の弟13くらい。
ある夜弟の部屋でゲームをしてたんだ。
明かりを点けてたら親に怒られるんで消して。
んである程度したらゲームにも飽きてきた。
かと言って眠くもないし、二人でぼーっと外を見てたんだ。
部屋の窓からは会社の駐車場を挟んで国道のバイパスが見える。
昼間は県有数の交通量を誇る道路だけど夜は怖いくらい静まりかえっている。
そのバイパスの歩道に人影が見えた。
しかし数十m先、しかも夜だから多分大人の男だろうくらいにしか分からない。
最初は夜誰かが散歩しているのかな?くらいにしか思わなかった。珍しいことではないし、しかしそいつは様子が変だった。
窓は南向きで道路は東西に伸びている。
そこを何度も何度も往復していた。
つまり東→西へ行って視界から消えたと思ったらまた西→東へ。
そんなことを恐らく一時間ほど繰り返していた。
気味が悪かったんだけど、どんな奴か顔を見てみたいと思った。
無駄だとは思ったけど窓から身を乗り出してそいつを見た瞬間目が合った。
というか暗かったからよく分からなかったけど目が合った気がした。
その瞬間鳥肌がサーと立って急いで窓を閉めた。
弟も察したようで布団に潜り込んだ。
勿論窓の外はもう見れない。しかし数分後足音が近付いてきてるのが分かった。
それは玄関の前でピタリと止った。
30分くらいして玄関が見える窓を覗くと、いたんだ。
丸刈りの年齢不詳の男。
生気のない目をまだ覚えてる。
もうこれはダメだと思い布団のなかでガタガタ震えてた。
それからまた数分後また往復し始めた。さっきの歩道じゃない。家の目の前の細道を。
足音だけが一晩中響いていた。結局一睡もできなかったが知らぬ間に足音は消えていた。
母親や父親に足音のことを尋ねたが聴いていないという。
あれ以来夜に窓の外を覗くことができなくなった
ほんのりと怖い話70