友達の爺ちゃんから聞いた怖くない話
山って入っちゃいけない日があるんだよね。
でも爺ちゃんが若い時はそんなの信じてなくて、くだらねーって思ってたんだって。
で、たまたま入っちゃいけない日にヒマだったから、その山に登ってみたと。
いつもと変わりはなかったな。
登って行っても、特に何もない。
昼過ぎには山頂に着いた。
大人達があれだけ言うには、何かあるんじゃないか?と内心期待してたんだが、迷信は迷信だったんだな。
俺は山頂で弁当を食べ、山を下っていった。
その途中でな、妙な音がするのに気付いたんだ。
じょり、じょり、ってな、すぐ近くから聞こえてくるのに、何の音か分からないんだ。
そしたら今度は、別な事に気付いた。
じょり、って音以外が聞こえない。
山の音が消えちまった。
これはまずいと思ってな、大急ぎで山を下りたんだがじょりじょりはずっと着いて来る。
やっと村に着いたところで聞こえなくなったから、一安心して知らん顔してたのさ。
そしたら近所の大人に呼び止められた。
「おい!お前、山に入っただろう!」
にやにや笑って言うのさ。
なんでこいつ分かったんだろう?って思いながら、入ってないよととぼけた。
「お前は嘘が下手だな、頭に出てるぞ」
頭?触ってみると、つるつるなんだ。
俺はいつの間にか剃り上げられちまってたんだな。
あのじょりじょりって音は、俺の頭を剃る音だったんだ。
それから髪が伸びるまではとにかく恥ずかしかったもんだが、落ちる髪の毛にどうして気付かなかったんだろうなあ?
俺らに聞かれても分からんw
不可解な体験、謎な話~enigma~ 99