メール

もう何年も前の話だから、曖昧な部分もあるかも。
ある日の深夜、唐突に、母が「おじいちゃんが亡くなりそうだから、会いに行こう」と言って来た。

うちは祖父の事を「じいちゃん」と言う上にその「じいちゃん」は元気だったので違和感を感じてたら、どうやら私の知ってる「じいちゃん」はばあちゃんの再婚相手。
「おじいちゃん」ってのは母の実の父、って事らしかった。
当時10代の私、「存在知らなかった人のとこ行ってどうしたらいいの…」状態。
それでも母に引っ張られて、取り敢えず母・姉・私・弟で高速に乗って遠い病院へ。
(我が家は母子家庭です)

ガリガリに痩せてる、記憶にないおじいちゃんを前にオロオロ。
それでも赤ちゃんの頃には会ってるらしく、おじいちゃんは話しかけてくる。
それに受け答えしつつ、母はお医者さんに話を聞いたりしてその日は帰宅。

暫くは何度か伯母も一緒に病院に足を運んだが、当時高校生でバイトをしてた姉は最初の一回以来、あまり赴けず。
そうこうしてる内に、1ヶ月程でおじいちゃんは亡くなってしまった。
おじいちゃんは身内と殆ど絶縁状態(?)らしく、お見舞いに行っていたうちの身内のみで小さいけどお葬式。

その後、母達がおじいちゃんの兄弟の方に連絡を取り、相談の結果、そちらがお骨を受け取るということに。
役所にお骨を預かって頂き、私達一家帰宅。

その後、いつも通りに過ごして1週間程経った夜。
母・私・弟はリビングでテレビを見ていて、姉は部屋に居たんだが。
姉がリビングに来て、「何?」と。
母・私・弟が「え?何が?」と言うと、姉が「母さん、メールしたでしょ?何?」と言う。
ますます「え?」な母に、姉がメール画面を見せる。
確かに母さんからのメールで、本文は「○○○(姉の名前をカタカナで三文字)」とだけ。
時刻はついさっき。

母「え?こんなメールしてないんだけど」
姉「え?」
母「携帯なんか触ってなかったし、ねぇ?」

私・弟は確かに数十分は母と一緒に居た、が、確かに携帯は触ってない。
証拠にと母の携帯の送信メール一覧を見ても、そんなものはない。
その日は皆で「なんだろうね?変なの」程度で流してしまった。

それから更に1週間程。
全く同じ状況で、またしても姉に母からメール。
今度の本文は「いつくる」のみ。

ここで漸く母がハッとして、
「ねぇ、ちょっと待って、もしかしておじいちゃん…」
と慌てて役所に電話を掛けた。
電話の結果、母の第一声は
「おじいちゃん、お骨まだ引き取り来てないんだって…」

結局、お骨は我が家が引き取りに行った。
その後は一度、忙しさで皆が命日を忘れてしまってたら、母の携帯が聞いたことの無い着信音で鳴り、番号を調べたらおじいちゃんの住んでた地方のモノだった、とか。
そんなこともありました。
数年経った今では、めっきり平和です。

ほんのりと怖い話73

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