4階の部屋

緊急帝王切開で出産入院した時、2階3階の一般部屋は満杯で入れなかった。(そこの産科は二人部屋と一般個室から選べる)

私は一般個室を希望していたが空いていない、二人部屋のベッド一つも空いていない。
仕方ないので初日は1階の経過観察室?のベッドで過ごし、二日目に「一般個室料金で良いので4階の部屋を利用して貰えますか?」とお願いされた。

4階の部屋、そこはワンルーム並の設備、家具家電がおかれた特別個室。
家族も寝泊まり出来る様にか立派なソファベッドがあり、クローゼットには布団一式、システムキッチンやシャワー室、とにかく豪華すぎる部屋。
母子別室の為、夜はゆっくり休めた。

そこに移って三日目の夜。うとうとしていると、廊下から男性の話し声が聞こえた。
隣の特別個室(と言うか特別~は全部で2室)の方の身内かな?と思ったが何かがおかしい。

帝切の傷口が痛むがドアの前まで行き、耳を澄ます。
すると奥から大人の泣き声が複数聞こえ始め、読経が始まる。
不気味だし、疲れているのかな?気のせいだろう、とまたベッドに戻り眠る。
私は疲れていると耳鳴りがしたり雑音が聞こえたりする体質で、ベースの音やエアコンの音がお経の様に聞こえたりする。(これもオカルト?)

で、夢を見た。
引き戸を開き、和尚さんらしき人が廊下に出ていく。
喪服姿の人々がお礼を述べて見送る。
中の部屋は和室。真ん中にベビー布団が敷いてある。場面は一転。
薄青色のつなぎの清掃員二人がさっきの和室に掃除機をかけ、焼香台を片付けていた。

目が覚めたのは朝方だったが、もう汗だく。
やけにリアルな夢。で、昼食前にドアをノックされた。
「部屋のお掃除に来ました」
…薄青いつなぎを着た清掃員二人。
傷口が痛み、掃除の間はソファで横になろうと思ったが、「その体勢じゃキツイでしょう」「埃も出るし、他の部屋でお休みになって下さい」と言われた。

他の部屋?隣部屋は空いたのかしら?と思ったら、エレベーター側からは見えない廊下に引き戸からあり、そこに案内される。
引き戸を開くと…和室。
夢で見たままの和室。
パニックになりながらも体の為に横になってみたが頭痛がして何故か涙まで出てきた。

清掃員が終わりました、と呼びに来てくれた際に 「あの和室も特別個室か何かですか」と聞くと…
「あの部屋は時々集まりに使うだけで部屋が満室でも泊まれないし、面会室でもないし、まあスタッフの会議室みたいな所」との返事。

私が昨日聞いた声が間違えなかったとしても、…あとは完全に夢だよね?と思いつつ、凄く気味悪くて、不思議話としても今まで誰にも言えず。
思い出す度、忘れようと反射的に拒否。

以上、体験談でした。

あまり怖くなくてごめんね(・ω・`*)

ほんのりと怖い話74

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