儂は78になったら死ぬからな

急峻な山地に家の点在するある地域の話なのだが、ある日、その地域にすむ老人が山の仕事に行くと、何時もの山道の傍らに、昔の人のような丁髷で裃を着た男が立っていた。

男曰わく「あなたは78の今日まで生きる」
変な事を言う人だなと、横を過ぎて振り返るともう居なかった。

それから老人は口癖のように「儂は78になったら死ぬからな」と家族に言うようになった。
老人が78になったその日の朝、「愈々今日だなあ」という。
炉端で皆で「また言ってる」と思っていたら、その日の昼に縁側で豆を剥いて居たと思ったら、座ったまま往生していた。

山にまつわる怖い話72

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