血だらけの女

5年ほど前の、結局何かわからず微妙に怖かった話・・・。

私は大阪市内の阪急某駅から徒歩5分ほどの便利なところに住んでいる。
その私よりもっと駅近に、建築業を営む幼なじみ(男)が住んでいる。
毎朝車で出勤する彼が、昼食時に興奮気味に電話してきた。

彼の話を順を追って説明すると、彼が今朝、いつものように車を出して駅からわずか70mほどの距離にあるT字路を右折するとき、右手から背の高い全身黒っぽい服の女がぼーっと歩いて来たという。

ちらっと見て、「え!?」と思ったのは、この女が頭からかなりの量の血を流していて、顔中血だらけだったからだそうだ。
両手をぶらんと下げ、たどたどしい足取りで左側、つまり駅の改札のほうへと向かっていったそうだ。

後続車がなかったので、一瞬、車を降りて「大丈夫ですか?」と声をかけるべきか、救急車か警察に電話すべきかと思ったが、朝の人通りの激しい駅までもうわずか、誰かが連絡してくれるだろうと思って、そのままアクセルを踏んで仕事へ向かったという話だった。

その話を聞いて、「それは本当に生きてる女かぁ?」とわざと怖がらせるようにたずねる私に、「それはない、あれは絶対生きてる女やった。めっちゃでかい奴やったし、何か事故にでもあったんかと思って、めっちゃ怖かったわー!」と、笑いながら否定した。

電話を切ったあとも、そんな目立つ格好で駅に向かって歩いていたなら、きっと朝の駅は大騒ぎになっただろうなと思った。
事故にせよ、通り魔にせよ、検索すれば出てくるんじゃないかと思ってググってみたが、何もそれらしい情報はヒットしなかった。
ん?おかしいな~。

微妙に怖くなったのは、その日の夜7時頃、帰宅直後の彼からまた電話があった。
「またいた!またいた!朝見た顔中血だらけの女が、T字路のところ反対向きに歩いてた!」
ええっ!?そんな状態で1日中?誰にも通報されず?救急車にも乗せられず?
そんなことがあるだろうか・・・・?

直後に外出する予定のあった私には、見慣れた夜道だけど、その女がふいに現れるのではと思えて、とても怖かった。
でも結局、誰だったのか、何だったのか、わからずじまいだった。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 106

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