凶器

ちっとフェイク入れるから矛盾が生じても勘弁。

殺人事件が起きた。被害者は既婚女性。頭部を鈍器のようなもので殴打によるなんたらで死亡。
現場の状況、周囲への聞き込みから、担当刑事は容疑者は女性の夫ではないかと睨んでいた。

だが、凶器が出ない。
犯行現場だけでなく、夫の職場に断って探してみるも、出てこない。
ドラマと違って、現実は凶器が見つからないと色々と厳しいらしい。

現場百遍。今日も夫の職場に断って、凶器を探す刑事さん。
倉庫を見させてもらっている時に、ふとうずたかく積まれた何百個とあるダンボールの一つを開けてみる。
中には、赤黒く汚れた布に包まれた凶器があった。
その凶器が決定的な証拠となり、夫の自供も得られ、無事解決。

その話を聞いた時、さすが歴戦の猛者の勘は凄いと感嘆したのだが、刑事さんは納得がいかない、といった様子で締めた。
「何かな、呼ばれたような感じがしたんだよ。別に声とかが聞こえたわけじゃないんだがな。ああ、あの箱を開けなくちゃならないんだ、ってさ。おまけに、凶器を見つけた瞬間、その時だけ何故か妙に怒りが込み上げてきたっていうかな・・・」

ほんのりと怖い話84

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