鎧武者

聞いてきた工事関係の話

関東某所で改築の為、古い民家を取り壊す事になった。
古い一族で、代々……六百年前くらいから、その地にいたそうだ。とある武将の傍系という話だった。
「お祓いも何度かしてもらったし、大丈夫だと思います」
と家主が言うので、詳しく聞くと口を濁しながら、鎧武者の霊が出ると代々言い伝えがあり見た者も何人かいるという。

安い値段で請け負ってしまい、後悔したらしいがそのまま施工開始。
毎日お酒を供えたりしながら工事を続けていたところ、四日目にその家主が子供が変な夢を見たと教えてくれたらしい。
鎧武者が「礼をしたいから、ここを掘れ」と、工事では手をつける予定の無かった祠みたいな場所を示したらしい。

実は工事関係者も何人か、「武者の霊を見た」「怖い」と言っていた場所。
しかし腹を括った土方は強い。変な意地も手伝ってユンボで言われた場所を二メートル程ガシガシ掘り出した。
がしっという音で、手掘りに変更。
そこからは……大量の菱形の小判(正しくは金)が出て来たそうです。

マジで埋蔵金。
施工業者には、御礼としてかなり支払われたそーな。
由来も血筋も間違いなかったので、鎧武者の正体ももしかして、某有名武将ではないかと言われているらしい。

ほんのりと怖い話84

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