無関係

中学生の頃、留守番していると家電が鳴った。
「はい、もしもし…。」
うちは母子家庭で母は夜に帰ってくるから、イタ電防止のためにも電話口で苗字は名乗るなと言われてんだ。
「もしもし、〇〇といいますけどお母さんいますか?」
初老のおっさんの声だった。

「母は出掛けていていません。」と言うと、「そうですかぁ、お兄さんは元気ですか?」と聞かれた。
確かにうちには年の離れた兄がいるので、このおっさんは母ちゃんの知り合いなんだろうな… って安心したんだ。
「はい。兄も元気です。母にご用ならなにか伝えときましょうか?」と言うと、

「いやいや、聞きたいことあっただけだから、お嬢ちゃんでいいよ。」
「…?」
「お宅の近くに〇〇外科医院ってあるでしょ?」
「はい?あぁ、ありますねぇ。」
「お宅と〇〇医院と何かしら関係あるの?」

この〇〇医院の名前がうちの苗字と同じだったんだ。
「…?いや、関係ないと思いますけど??そんなの聞いたこともないですし……」
「ウソつくなぁ!!!〇〇医院と関係あるんやろうが!!」おっさん発狂、私涙目。
「〇〇医院は許さない!皆殺しにしてやる。お前らも無事に生きていけると思うなよ!云々かんぬん」

ここで怖くなり電話を切った。
電話線も抜いて、泣きながら兄ちゃんと母ちゃん帰ってくるの待ってたんだ。
んで、母ちゃんに泣きながら話したら、当然そんなおっさんは知り合いでもないし、〇〇医院とも無関係だとのこと。

苗字が一緒なだけで勘違いされて脅されるとか、マジで怖かったです。

ほんのりと怖い話86

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