遺品

怖いっつーか不思議な話

俺の家はけっこうでかい店をやってて、当時も従業員が10人くらいいた。
夏のある日、俺が店の前で遊んでたら、おっさんが話しかけてきた。

「この家の子?」
俺が頷くと、おっさんは「私はこういう者です」と言って名刺をくれた。
そして、「この家の人にはとてもお世話になった。お礼を言っておいてください」と頼んできた。

60代くらいで、すごく背が高くて紳士的なおっさんだった。
おっさんは、婆ちゃんが店をやってたときに働いていた人だった。
婆ちゃんはすごくびっくりしてた。「今更お礼に来るなんて変だ」とか不思議がってた。

問題はその後。家に、遺品だというおっさんの小さいアタッシュケースが届いた。
実は一週間くらい前に、飛行機の墜落事故があった。おっさんはその事故で亡くなっていたんだ。
俺がおっさんから名刺をもらったのは、その墜落事故の翌日だったんだ。
つまり俺が会ったあのおっさんは、幽霊だったんだな。

おっさんには家族も身内もいなくて、この辺はよく知らないけど、どういうわけか遺品が家に届いた。
親父は人様の遺品なんてもらっても困るし気味が悪いと受け取りを断ろうとしたが、婆ちゃんが譲らなくて、結局受け取っていた。
そして婆ちゃんは俺に、おっさんの事は誰にもいうなと脅してきた。
俺は霊勘とかまったくないけど、本当に不思議な体験だった。

で、1年ほど前、その婆ちゃんもこの世を去りました。
婆ちゃんの遺品整理してたら、出てきたよ、あのアタッシュケースが中には俺がもらった例の名刺と、年賀状と、見なれぬ手紙が輪ゴムで一まとめになってはいってた。

手紙の内容は、おっさんから婆ちゃんへのラブレター…どうやら二人は、昔浮気していたらしいw
親父や親せきに見つからないよう、俺がこっそり処分しておきました。
もうすぐ婆ちゃんの一回忌なので、文章下手だけど記念カキコ

ほんのりと怖い話88

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