友人に聞いた話です。
友人が小学校の頃、友人の友達(以下A)と近くの山で探検をしていると山の入口から20,30分程かかるところに小屋があるのを見つけた。
農具かなにかをしまうような小さい木とトタンでできた小屋で相当古くかなり老朽化していて、小屋の中はボロボロに朽ちたスノコのような木が土の上に敷いてあった。
それから友人とAはその小屋を秘密基地と呼びほぼ毎日来るようになった。
ある日、小屋の中で友人とAが話していると異様な臭いがすることに気づいてどこから臭うのか、しばらく臭いの元を探していたが見つからず床を持ち上げてると、開けた瞬間に強烈な異臭を放ち下には黒い毛玉のようなものがあった。
友人がなにこれとしばらく固まっているとAが木の棒でそれをつつきだした。
棒で毛玉をひっくり返してみると腐った猫の死体だった。
死んでから時間が経っているようで、顔はギリギリ猫だったとわかる程度にひっくり返した瞬間、Aが突然「ウギャーーー@#$&%****、アパパパパパアポゥ」みたいにずっと叫びながら小屋を飛び出し、友人も必死で追いかけたが、普段そんなに足の早くないAに全く追いつけずAはこけそうになりながらも、一度も止まることなく山の出口まで駆け下りていってしまった。
友人は確かに初めて生き物の死体を見たのでびっくりしたが、明らかにAの驚きようは異常で、友人が山を降りていくと出口でAが泣きながら座り込んでいた。
いくらなんでも大げさすぎると思い、話を聞くためしばらく待っているとようやくAは落ち着いてきた。
話を聞くと毛玉の顔が猫の顔じゃなく自分の頭だったと言い出した。
友人は意味が良くわからずまさかそんな訳はない、気のせいだと慰めながらその日は家に帰った。
Aは猫の死体をずっと踏んでたから呪われたとか木でつついたりしてバチが当たったんだとか言っていた。
そしてとくに何もないまま数年たった。
高校生になり夏休みにAは大工のバイトを始めた。
その工務店は昔、仕事中に事故があったらしくヘルメットを支給されていたが、夏場は暑すぎてつけてられないのでみんな外していた。
ところが、急にバイトの先輩がヘルメットつけろと言ってきた。普段はそんなこと言われないし、バイト始めた時はヘルメットつけてると暑苦しいから外せと言ってきた先輩なのであれ?と思いながらも付けて仕事をしていた。
昼休みになり、みんなで昼を食ってから飲み物を買いに行くために立ち上がると先輩がまたヘルメットつけていけ、と言い出した。Aはいくらなんでもコンビニにつけていくのはおかしいと思い、なんでですか?と尋ねたが、いいからつけていけ と。
不満に思いながらも先輩は怖いぐらい真剣で、いつもは明るい人なので妙に気圧されて着けて行くことにした。
すぐ近くのコンビニに向かう途中でAは交通事故にあった。
Aは車のフロントガラスに頭から突っ込んでかなり重傷だったらしいが、一命は取り留めた。
医者にヘルメット着けてなかったら確実に死んでいたと言われたそうだ。
後日、先輩になぜヘルメットをつけろと言ったのか聞くと、なぜか嫌な予感がしたらしく昔からそうゆう第六感?みたいなのが結構当たるから、一応着けさせたけどあまり自信もなかったし言ったところで信じられる話じゃないと思って黙ってたらしい。
でもコンビニに行くって立ち上がった時に肩らへんにドス黒い塊みたいなモヤモヤが見えて確信したそうだ。
Aはその時全く気づかなかったらしいが、友人にその話をした時
黒い塊って・・・ あの猫だよな。
Aは退院後すぐにお祓いを受けたみたいです。それからはとくになにもなく元気に生きてます。
友人はその話聞いたとき、怖さとそれに気づかなかったAの馬鹿さに本気で腰が抜けそうになったそうです。
あとちょっと分かりやすく盛ったけど話自体はだいたい聞いたままです。
ほんのりと怖い話88