大学時代の事です。
バイト先の友達10人ほどで集まった次の日、集まった友人の家に電話をした。
友人は3人でルームシェアしており、一人は全く知らない相手、二人は仲良くしていたのだが、本来かけた相手でない友人の方が電話に出て、僕である事に気づいた瞬間こう言った。
「お父さんが死んだ」
話は前日集まっていた時に戻る。
みんなたわいもない話をしていたのだが、突然何でもない事のように
「ここにいる人の身内が一週間以内に二人死ぬ」
と言う内容の事を僕が話していたのだ。
あまりに何でもない口調で突然言うものだから、一瞬会話が止まったが、みんな無かったことにしたかのように元の会話に戻った。
そもそも、当の本人が、せいぜい「後ろのコップが倒れそう」と言った程度の認識で自然の口走った程度だったので言われるまで気にもかけていなかった。
そして数日後、同席していた別の友人のお父さんが、車にはねられて亡くなった。
これが記憶にある最初の予知?だったのだが、この後無意識にどうにもならない未来の不幸を言い当てる事が何度となく起こった。
正直最初は「不幸な」という事には気づいてなかったのだが、知人の新聞記者に少し話した時に「予知って不思議と悪いことが多いよね」と言われて気付いた。確かに良い事を予知した事はまるでない。
第三者としてはただ不思議な話だろうが、気付いてしまった後は自分が不幸の発生器のような気がして、怖くてたまらなかった。
怖くて怖くて、こんなこと判らなくていい!と強く念じ続けている内にこういった事は次第になくなって行った。
そして5年くらいは何事もなく過ごせた。
悪い予感は、ある意味危機回避能力と言ってもいいだろう。
動物なんかがそうだが、地震が近付くとネズミが居なくなったりと言った話は良く聞く。
見えてしまっている彼はそういう能力に長けているのではないかな。
一応本人なので…。 正確に言えば「見えて」いる訳じゃないんですね。
まるで、そこにある事実のように感じると言った感触だったんです。当時は。
そして、危機回避と言っても手の出せない領域で何一つ変えられなかったのですが…。
ほんのりと怖い話91