田舎なんかにある、子供を怖がらせる為にある集落ごとの怖い話で、「ワン」っていう化け物の話があるんだけど、うちの田舎にもそういう話があるんです。
子供の頃はその話を聞かされて、悪いことしないようにしようと震えたものでした。
そんな事も忘れた高校のある夏の日、今くらいの時期だったかな。
親父と車で畑の近くをDVD借りに通ってた時、畑の中じゃない農道の真ん中に、真っ黒い格好で顔が真っ白なのがずっと立ってたんですよ。
なんだろう、日本人としては少し大きすぎないか?と父親と言いながら通り過ぎたんですが、すれ違いざまに見たそれは、顔が真っ白、厚手の服を着ている、帽子を被っている。しかも衣類は全部真っ黒。
めちゃめちゃ気味が悪かったので、今でもよく覚えています。
畑の中だから案山子だろうと言いつつ、ビデオ屋へ映画を借りに。
そんで、DVD借りて帰る時も、その案山子が同じ場所にある訳ね。
ああ、人間だったらこんな長時間そこにはいないだろって事で、やっぱり案山子だろって片付けたんですけど、通り過ぎた後、それが普通に歩いて道を横切ったんですよね。後ろの方で。
今でも親父と話になるくらい怖かった。
間違いなく俺らがDVD屋に居た1時間ちょい位その場から動いてない筈なのに、帰りの時、一定の速度でスーッと歩いて、車が通過した後の道を横切っていった。
田舎だから長い直線多くて、走ってる間ずっと後ろが気になって見てたから、通り過ぎた後のその道が不気味だったのを今でも思い出します。
んで、流石に怖くなって親父と話したら、「やなもの見たなー、何もなくて良かったなー」って。
理由を聞いたら、ああいうのを「ワン」って言うらしいの。
話が生まれた経緯も、子供を怖がらせるのが本来の目的ではなくて、悪い事をしてる子供が居ないかじーっと畑の中から見てて、(田舎という事もありコレは諸説あって、自然の中から見ているという事らしい)見つけたらゆっくり家のほうに歩いてくるっていう所から、親がそれを発見して、子供に「ワンが来るから夜に口笛吹いたり夜更かしするな!」って怒るのから、段々変わってきたらしいんだけど。
口笛とかは例えで、実際はどうなのか知らないし実害があったかなんて聞いた事もない。
そもそも化け物的な物なのか何なのかすら昔から分からないそうで、ずっとこの形式で語り継がれてきたそうです。
でも、真意は分からないけど、うちの田舎に不良というか夜外で屯する様なのが余り居なくて、その理由は、外でこう言う怖い目にあってるからって噂もあります。
直接姿は見えるけど、実害はない。その姿を見て恐怖し、悪い事を夜しなくなる。
なんて言う所から、この話は今でも続いて居るようです。
親父と見たのは多分ただの酔っ払いかなんかだったんだろうけど(そう信じたい)、怖かったなぁ。
その時初めてワンの由来を聞かされたんで尚更怖かったです。
ほんのりと怖い話103