ふと子供の頃に見た不思議な光景を思い出したので書いてみる。
海岸沿いに国道と線路が並んで走ってるような、日本海側のド田舎の話。
日差しが強くなってきた丁度今頃か、もう少し夏に近かったと思う。
友達と海で遊んでた自分は、皆と別れて海から国道に上がって一人で歩いてた。
田舎の海岸線沿いの集落を知ってる人には想像出来ると思うんだけど、
海 |国 |線|
| | |山
| | |
岸 |道 |路|
こんな感じで、国道に立って北側に向くと、東側は山、西側は海っていう極端な景色になる。
で、国道を一人で北に向かって歩いてたんだけど、ふと気が付いたら東側の山沿いにある集落に見慣れない物が見えた。
海岸線だからまっすぐじゃなくて、自分が歩いてる先は左に向かって緩やかにカーブしてて、海と山と大きな国道しかないから、その先何キロかずーーっと先が見渡せる状態だったんだけど、その集落の高台(寺だったか神社だったか)の所から、真っ白な服を着た集団が北に向かってゾロゾロ歩いてた。
自分とその高台との距離は多分200mくらい…?子供の頃の記憶だから今見ればもっと近い距離だったかもしれない。
人がいれば分かるけど顔の判別なんかはつかない、それくらいの距離。
ウォークラリーでもやってるのかなぁなんて思って見てたんだけど、太陽の光が反射して白さが際立つ一団は、老若男女…かは判らないけど、少なくとも大きな成人男性、線の細めの女、大人に挟まれて小さいのは子供?それらが一列になって高台を降りて、ひたすらまっすぐに歩いてた。
2、30人は居たと思う。その全員が白。真っ白。ヤッケというか、パーカーというか、そんな感じの服装に見えた。
そして私が眺めている間に、あっという間に国道に降りて歩いて視界から消えて行った。
違和感は感じたものの、あっぱらぱーな子供時分なもんだから、正体に気が付いたのはずっと後だった。
あの集団の移動スピード。
一糸乱れることなくスタスタと、前の人との距離は人一人分くらいのまま、早歩き位の早さだった。
子供も居たのにあの速さはありえない。
子供と一緒に歩いた事がある人なら分かるとおもうけど、子供ってまっすぐには歩かない。
大人と同じ速度でスタスタまっすぐ歩く子供なんて想像したら怖い。
なんとなく口に出したら、あんな白昼堂々と見てはいけないものを見てしまった事を認めるようで怖くて言えないまま、記憶の片隅に追いやっていたのをふっと思い出したので書いてみた。
ほんのりと怖い話107