学生時代、清掃のバイトした。
元々は清掃で入ったわけじゃない。パチ屋関連の仕事で入った。
しばらくして会社に呼び出され、給料上げるから掃除の仕事してくれって言われた。
当時ではかなーり給料良かったから二つ返事でOKした。
いつも東京の某区の決まったオフィスとマンションが合わさったようなビルの一室を、深夜に車で送ってもらって掃除する。
週に2回だったと思う。
不思議なんだけど、その部屋にはスチールのロッカーとカーテンがあるだけで、ほかに部屋の中には何もなかった。
床のプラスチックタイル以外の内装すらなかった。
そんな部屋が二箇所あって、そこをローテーションで掃除してた。
大体0時ころから3時前くらいまで、3時間かけて掃除する。
特に汚くもないもないから掃除自体は楽なもんだった。
この仕事、ある疑問が沸くまで数ヶ月ずっとやってた。
その疑問っていうのが3つ。
・なんでこんな何もない部屋掃除するんだろ?
・毎回掃除が終わると、廊下で人が待ってて「何もなかったよね?」と確認してくる。
・1回だけ鮮やかな赤い手形が部屋の壁のコンクリに付いてた。赤い手形っても血みたいな赤じゃない、ペンキみたいな赤。
で、モップかけたら簡単に落ちた。
掃除終わった時に、いつもどおりオッサンに「何もなかったよね?」って聞かれたから、
「赤い手形ありましたよ、落ちましたけど」って言ったら、おっさんが凄い顔を寄せてきて、「そりゃラッキーだね、内緒にしたほうがいい」って耳元で囁かれて、それからしばらく給料がかなり増えた。
で、なんか怖くなって、結構金もたまったし、その仕事はやめた。
オチは特にない
ほんのりと怖い話108