未来視

伯父さん(親父の兄)の話。

未来視が出来るという伯父さん。
その方法は、タライに流した「未来視する人間」と「未来視される人間」の血液を、まばたきせずに見つめる事。
それ以外にも何か手順があるのかもしれないけど、私は全部を見ていないので何とも言えない。

私が小4の頃に親父が家を建てた。
未来視に目覚めた伯父さんが家族から気持ち悪がられていて、新居に同居する事になった。
そこには占い部屋と呼ばれる部屋があり、伯父さんは仕事以外の時間はいつもそこに居た。
同居してすぐに占いに興味を持った私を、伯父さんは占い部屋に入れてくれた。

特に立ち入り禁止というわけではないけど、占い中は鍵をかけているのでいつも入れない。
母がご飯の誘いに呼びに行くといつも鍵がかかっていて、伯父さんはあとでご飯を食べていて、食器の後片付けとか面倒だから一緒に食べてくれないかなぁと、母はいつも嘆いていた。

未来視といっても、呪術のような感じだとか色々言っていたような気がするけど、その後の光景のインパクトが強すぎてあまり頭に入ってこなかった。
硬そうな大きい金庫から輸血パックのような袋を2つ取り出し、上部をハサミで切り、タライにあけた。

そして目を閉じないためにビューラーのようなもので目を強制的に開けてお祈りをする。
そしてタライの血液を見つめてブツクサ言いながら紙に書き起こす。
それを依頼主に渡す。
これが未来視の全容。

それから1年もしないうちにノイローゼをこじらせて、睡眠薬のやりすぎで亡くなった。
本当に見えていたかどうかは置いておくとしても、当時小学生だった私にはとんでもなく怖い奇行に見えた。

ほんのりと怖い話116

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