二階のど真ん中の部屋

実害がないから怖い話なんだろうか、と自分でもちょっと疑問はあるんだが…
叔父夫婦が以前、ある大学寮で住み込みで仕事していた時の話。

その寮の二階のど真ん中の部屋(仮に206号室)は、叔父夫婦が採用された時点で既に閉鎖されていた。
管理会社に理由を聞くと、「水漏れが酷いので閉鎖している」と説明を受けた。
一度、隣(205)から「水音がする」といわれてマスターキーで鍵をあけようとしたら、開けられなかった。

管理会社に確認すると、
「そこは開けなくていい。水漏れは修理してあるから気のせいだと説明して。それでもダメなら空き部屋移動して」
と言われる。
その後も水音が続くというので、隣の部屋の生徒は他の空き部屋へ移動することになった。

それからしばらくして、東北での震災があった。
その関係で寮も耐震工事をすることになり、ついでに大規模リフォームも行われた。
数ヶ月の間は近くのマンションで生活していて、工事が終り寮に戻った。
全面的にリフォームがされていてきれいになっていた。
全室クローゼットなどの収納が新たにつけられたり、各部屋の扉も重いものから軽いものに変えられた。
が、206号室だけは扉もそのままだった。

一度補修に来た業者に聞いてみたところ、206号室だけ一切手を加えなくて良いといわれた、と言っていた。
「あの部屋何かあったんですかね、たまにあるんですよ、こういうの」
と業者の人も言っていて事情を知らないようだった。

学生の間では、就職が決まらずに電車に飛び込んだ生徒の幽霊が出るだの、大学内の三角関係で部屋のベッドでクビをかっ切って死んだ生徒の幽霊だだの、色んな噂があるだけで事実は不明。

でも「何か」があって閉鎖されたはずだし、それがよっぽどのことだから、リフォームもせず、誰も入れないんだろう、と推測される。
ついでに、業者の「たまにこういうことがある」って言葉も地味に怖かった。

つか、全然盛り上がりもないな、これ。
ホラー映画とかなら、その206号室に無理に入った学生が発狂したり自殺したりするんだろうが、そういう面白い話じゃなくてすまん。

ほんのりと怖い話125

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