俺が中学生のとき、夕方に友達と一緒にジョギングするのが日課だった。
とある日いつものように友人と走っていると、1台のセダン車が道路脇に停まってたんだ。
ルームランプがついてて運転席に人がいる。
遠目から見て白い服を着ていると思ったが、車に近くなった時それは服じゃないことがわかった。
全身、顔までもを包帯で巻かれた人みたいなのが運転席にいた。
とたんに俺も友達も会話をやめて、前を見て全速力で走った。
怖くて脚がフラフラした。
ようやくゴール地点の友達の家の中に駆け込んだ。
あれはマネキンか?などと友達は言っていたが、あきらかに違うと思う。
俺は友達の家から帰るのが怖くて、親に電話して迎えを頼んだ。
帰るとき、あの車が停まっていた道を通らないように頼んで違う道を通った。母ちゃんにはビビりだと笑われた。
しかし目に入ってきた光景に心臓が再び飛び上がった。ルームランプがついた車が停まっている。
俺は声も出せず、車とすれ違った。
怖くて下を向いていたが、母ちゃんが車を飛ばしはじめ、震えた声で「全身包帯の血だらけの人がいた」と言った。
その日は眠れなくて、布団に頭までもぐって恐怖に耐えた。
母ちゃんが警察に通報するとパトロールを実施してくれたが、それも少しの間だった。
警察も、不審な人物は特にいないと言っていた。
しばらくトラウマだったが、社会人になったら恐怖も薄れてしまった。
23歳になった年、ジョギングしてた友達とは疎遠になっていたが、実家の家電に電話がきて、友達が亡くなった、お通夜にきてほしいと連絡がきた。
死因は高速道路での衝突事故だった。全身を強く打って即死だったらしい。
俺も母ちゃんも、驚いてなにも言えなかった。
ほんのりと怖い話128