コートのおっさん

今も住んでる賃貸なんだが、去年の夏頃に奇妙なことがあった。
祝日で予定も無かったから、一日ダラダラ過ごしてそのまんま晩。
まだ飯の時間じゃないなーと思ってもやっぱりすることなかったから、玄関ドア開けて廊下に出た。
俺3階に住んでんだけど、日も落ちてきて夕暮れって感じ。

なんか落ち着かないあの感じだったんだが、なんとなく手すりに持たれて下みたら、コートのおっさんがこっち見てた。真夏なのに。
一瞬目があったけど、俺は目を逸してすぐ部屋に引っ込んだ。気まずいからね。
そいでから飯を済ませて風呂にも入って、またちょっと涼もうかと思って出たら、居るんだな。
またジッとこっち見てたからもう気味悪いし、いっそ話しかけてやろうと思って出た。

下に降りたらソイツ確かに居るんだけど、まだ俺のさっきいた所を見上げたままで、流石になにかあるのかと気になって俺も見上げたら、急に後ろで「あーーーーーーー!」ってそいつが叫んだ。

びっくりして振り返ると消えてるし、こんな夜中に叫ぶやつが俺って濡れ衣嫌だったし慌てて階段駆け上がった。
恐る恐る頭だけ出して覗いたけど誰もいなかった。

混乱しつつ部屋に入ろうとしたら、耳元で「ふぅ」ってため息聞こえたから振り返らずあわてて入った。
その晩いた住民にさりげなく聞いてみたけど、そんな叫び声聞いてないって言うし謎。

ほんのりと怖い話129

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