インターホン

家族で引っ越して間もない高校生の頃、家族全員不在で1人寝てた。平日のまっ昼間。
何度かピンポン鳴ったんで起きて、インターホンで「はい」って出たら、女の人(おばちゃん的な)の声で「すいませーん、下の階の者なんですけど、お洗濯物がベランダに落ちて来てたんでー」って言われたのね。
だから普通に「ああー!すみません!」とかなんとか返事して玄関出たら誰もいないの。

うちは団地で、ワンフロア10室あるうちの「304」でほぼ真ん中。どっちかに立ち去ったなら見えるし、走り去ったなら足音がそこそこ響くと思う。
だからキョトンだったんだけど、あとからじわじわなんか怖くなって、戸締りを二度も三度も確認したのは覚えてる。

で、これだけをもし自分が第三者で聞いたのなら「酔ってたんじゃ?」もしくは「寝ぼけてたんじゃ?」っていうと思う。
ただ自分はアルコールだめなので酔ってたという選択肢はない(もとより未成年)し、仮にあれが寝ぼけだというならあんなにもハッキリ?と逆に怖くなる。

大学で心理学に進み、人の記憶ほど当てにならない明確で鮮明な記録というものをたくさん学んで、その怖さはより一層大きくなった。
結局いまだにあれがなんだったのかわからなくて、不満が残る。

ほんのりと怖い話131

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