一人旅

小学二年生の夏休み、ロマンスカーに乗って田舎のおばあちゃんの家に初めての一人旅。
車内で中年の男女に声をかけられた。
初めての一人旅のテンションもあって、聞かれたことに答えたり、冷凍ミカンを貰ったり楽しい時間を過ごしていた。
本当に一人旅なのか、それを何度も確認してきたことを今でも覚えている。

目的地に着き、駅のホームにその男女と共に降りて歩いていたら、改札の外におばあちゃんとイトコが迎えに来てくれたのを見つけた。
一人旅を成し遂げた喜び、おばあちゃんに会えた喜びで手を振りまくっていたら、頭上から今まで聞いたこともない冷たい大人の声が聞こえた。
「ひとりじゃねーじゃねーか」

驚き仰ぎ見た二人の顔が今でも忘れられない。

ほんのりと怖い話141

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