エレベーター

ベタベタなんだけど本当に体験した話。

俺はマンションに住んでいて、その時は1階でエレベーターを待っていた。
暫くして1階に到着したエレベーターの扉が開く。中から50代後半くらいのオジサンが出てきた。
もちろん俺はそのエレベーターに乗ろうと思ったのだが、俺よりも近い位置でエレベーターを待っていた女性とその娘と思われる二人が先にエレベーターに乗り込んだので、コロナ禍ということもあり、俺は別のエレベーターを待つことにした。

二人が乗ったエレベーターの扉が閉じるのを確認すると、上階へ上がる↑ボタンを押した。
しかし押すのが早すぎたのか、二人が乗ったエレベーターの扉が開いてしまった。
開けてしまった手前、誰も乗らないというのは二人に対して失礼だと思った俺はそのエレベーターに乗せてもらうことにした。

軽く頭を下げ、「すいませーん」なんて言いながらエレベーターに乗り込もうとした俺は、自分の目を疑った。
そこには誰も居なかったのだ。最初から誰も乗っていなかったんだ。

そもそも考えてみると、あの親子は俺がエレベーターを待ち始めた時にはまだ居なかった。
1階に到着したエレベーターの扉が開き、オジサンが出てきたあたりで初めて俺は二人を視認したんだ。
突然現れて突然消えた。
いやいや、絶対幽霊じゃん!って思った瞬間、物凄く鳥肌が立ったというお話。

ほんのりと怖い話143

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