ヤシチヌウグヮン

沖縄の実家での話。あんまりこわくないけど。

うちの実家は丘陵地を造成した斜面に建ってるんで、出入り口が二階にあるんだ。
一階から出入りできるのは庭だけで、隣の家はまた1段下がった土地にある。
階段状になってると思ってくれたらわかりやすいかな。

で、季節は忘れたけど、ある時から一階の周りを誰かが歩く音がする。
ゴム長を履いたような音で、ガッポガッポと聞こえる。
聞こえる時間もまちまちで、昼間聞こえることもあれば夜中に聞こえることもある。

最初は泥棒かと思ったが、急いでカーテンを開けても誰もいない。
そんなのがあまりにも続くんで、家族に相談してみんなで見張ったりしたけど、足音は聞こえても姿は見えない。
特になにもないけど気になるし、気になるともう眠れない。

とうとう婆ちゃんが信仰していた宗教の人に頼んで、屋敷の御願(ヤシチヌウグヮン)をしてもらった。
その時のユタがいうには、「この辺でハブに噛まれて亡くなった人がいたけど、特に害はないからほっといていい」とのこと。

それからしばらく足音は聞こえていたけど、だんだん頻度か減っていった。

ほんのりと怖い話143

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