「もういいかい事件」と友達と呼んでいる出来事がある。
別に事件じゃないけど。
小学生の時、東北の田舎町に住んでいた俺は、友達と二人で公園で遊んでいた。
突然大雨が降り出したので、近くの駐輪場の屋根の下で雨宿りをすることにした。
公園の裏には広い雑木林と沼地があるんだが、しばらくすると突然、雑木林の中から子供の声で
「もういいかーい」
と聞こえた。
その声は一度ではなく、何度も何度も繰り返し聞こえた。
俺と友達は「なんか変じゃないか?」と話した。
大雨の中でなぜかくれんぼをするのか、そして「もういいかーい」の声は聞こえるのになぜだれも「もういいよ」と言わないのか。
最初は友達も気味悪がっていたが、気の強いそいつは悪乗りして大きな声で
「もういいよーー」
と叫んだ。
そしたら何度も聞こえていた「もういいかーい」の声が、ピタッと止まった。
その日の出来事はそれで終わりだったんだが、それからたぶん一年半ぐらい経った夜のこと。
俺は夜中に突然目が覚めた。
睡眠は深いほうなのでめったに夜中に起きることはないんだが、しばらく布団の中でぼーっとしていた。
そのしたら外から突然、まさにあの時のあの子供の声で
「もういいかーい」
と聞こえた。
正直この記憶はあいまいで、その時どんな感情だったかは覚えていない。
もしかしたら夢だったのかもしれない。
あの雑木林と沼地は家から割と近くにあるが、それでも声が聞こえるような距離ではない。
まず夜中に子供がかくれんぼしてる時点でおかしいんだけど。
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