おっさんの頭

俺が中ニの時だから今から8年前

淡路島の五色浜へ同級生5人と海水浴&キャンプに行った。

浜の松林の中にテント2つ張って、夕方まで泳ぎまくり、夕食は定番のカレー&ヤキソバ作って食った。 
んで、零時過ぎてから就寝。
俺は疲れてすぐ寝たんだけど、いきなり体を激しく揺さぶられて起きた。
同じテントで寝てたAが「トイレ行きたい」と。

「あのなぁ~便所ぐらい1人で行って来いやぁ」
って、文句言うと寝てたと思ってたBも起きてきて
「俺も行きたいから3人で行こ」

トイレは工事現場なんかでよく見かけるタイプのやつで、松林近くの海の家の裏に4基設置されてた。
んで、二人がトイレに入って俺はボーっと海のほうを見てた。

砂浜辺りまでは海の家の電燈の光が届いてて、ふと妙な物を見つけた。
波打ち際で黒い歪な丸い物が右に行ったり左に行ったり動いてる。

最初海草の塊だと思った。
ジーッと見てたらいきなりそれが俺の足元まで滑るように近付いて、俺の数十㌢前のとこでピタリと止まった。

顎から上の30代後半ぐらいのおっさんの頭だった。
おっさんは上目遣いで俺を見てる。
どこにでもいるリーマンぽい顔で髪は七三分けがちょっと崩れた感じで、波打ち際に居たのにまったく濡れてなかった。

俺は呆気にとられてただおっさんと目を合わせてた。
顎から下はどうなってんだ?と俺は怖さも忘れて見てた。
2、3 分かもっと短かったかもしれないけど、やがておっさんはゆっくり海の方を向いた。

初めておっさんの後頭部が見えた。
俺は初めて悲鳴を挙げた。
おっさんの後頭部は中から爆発したかのように大きな穴があいてた。

俺の悲鳴を聞いてトイレからAとBが飛び出して来た。
俺は「頭~頭~」って言うことしかできなかった。
おっさんの頭は俺が悲鳴あげて腰抜かしてる間に消えてた。

騒ぎを聞きつけて他の連れ3人と高校生のあんちゃんら4~5人が集まってきて、俺がつっかえながら話すと「ガキが夢見て騒ぐな!」と怒られた。
俺も人が集まって安心したのと、よくよく考えたら有り得ない話だと思って、泣きながら謝まった。

翌朝帰りのフェリーの中でもう1つのテントに居た3人の連れの話。

C「おまえらがトイレ行ってる時、海の方から『帰れない、帰れない』って男の声が聞こえた」
D「俺とEもその声で起きた。なんだろうってテント出ようとしたら、目の前を黒い物がスーって横切った」
E「影だけ見えたけど、大きさは人間の頭ぐらいあった」
C「怖くなって3人で固まってたらおまえの悲鳴が聞えた」

以上です。
連れ達は今も会うとこの時の話をするけど
みんなこの時から海には行かなくなったって言ってた。

海にまつわる怖い話・不思議な話5

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