首輪をした犬

地元の民話

斧を持って山を登っていると、途中、首輪をした犬がいた。

どこの犬だろうと彼が不審がっていると、犬が口を開いた。
「お前は誰だ。」
彼は驚いたが、日焼けした浅黒い彼の肌のせいで、表情が表に出ることはなかった。
彼は自分の名を名乗った。

犬はいらただしそうに首を振った。
「そうではない。お前は何だ。」
男はいやぁな感じがして、思案したあげく、こう答えた。
お前と同じだ、と。

「そうか。皆待っているぞ。急いで来い。」
犬はたちまち巨大な影と化し、長い胴体をのたうたせて森を這い上がっていった。

しばらくして、隣村の猟師が山から誰も戻ってこないという噂を聞いた。
猟犬も行方不明だと聞き、彼はぞっとした。
その日から彼は人を避けるようになり、同村の者とも口をきかなくなった。
晩年、偏屈となった彼は、あばら小屋で独り寂しく死んでいたという。

山にまつわる怖い話10

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