ホームレス時代の話もう一つ。
荒川じゃないけど、都内某所でもと神主だというおっさんホームレスと知り合った。
神主だったら宗教法人で税金免除されるし、寝床にも困らないだろうし、なんでホームレスになんでなってるのかと聞いて見たことがあった。
その元神主のおっさん曰く、神社を放り出して逃げてきたんだそうだ。
おっさんの居た神社って言うのは小さいのだが、地元では有ることで有名な神社なのだそうだ。
普通は神社の絵馬っていうのは、病気が直りますようにとか、どこどこの学校に受かりますようにとか、あと最近は萌え系の板絵馬とかそういうのが奉納されてるのが普通なのだが、おっさんの神社に掛けられる絵馬は、「私からXXXさんを奪ったあの糞女xxxを地獄に落としてください」とか、「●●●のお腹の子供が流れますように」とか他人を呪うない世の者ばっかりなんだそうだ。
おっさんがいくら絵馬を片付けて、他人の不幸を願うような絵馬は止めて下さい><って内容の看板を建てても一向にその手の絵馬はなくならない。
まあ、おっさんがやってくるずっと前から、その手の呪い事で有名な神社だったから仕方の無いことなのかもしれない。
で、そんな絵馬を毎日毎日見続けてるうちにおっさんに変調が起こる様になったそうだ、会った事もないのにその絵馬で呪われてる人物の事が憎くなって来るんだという。
最初は神職に有る自分がそんな事ではいけないと自分を律していたのだが、しかし段々絵馬に書かれた人間に対する憎しみは強くなってきて、日常生活中でもモノや知り合いに当り散らして紛らわすようになったという。
最後はにはナイフを持って絵馬に書かれた住所の場所まで行って、ふと我に帰って自分に戦慄して、そのまま神社に戻らずホームレスになって東京まで流れてきたのだと言う。
しかし、そのおっさんはオカルト的な意味で呪いと言うのは信じていなくて。
「人間って言うのは言葉によって意思や自我を形作っているでしょう、長年あの手の言葉を目にしているうちに呪詛の言葉がいつの間にか私を構成する自我の言葉の一部になっていたのかもしれないですね。」
とか言っていた。
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