覗く目

所々うろ覚えだったんで、ママンに電話して体験談を教えて貰った。

母は独身時代、実家の一番奥の部屋で寝てた。
祖父母宅は代々豪農で、昔ながらの日本家屋って感じの屋敷。
母はその部屋で寝起きしていて、夜になると気持ち悪いものが部屋に来ている事に気づいたらしい。

自分しかいない部屋に、何かがいる気配がするというんだが、もう大人だし兄達には言えないと黙っていたらしい。
だけど誰かがいる感じは無くならず、次第に横から誰かの呼吸音まで聞こえて来るようになってしまったらしい。
気持ち悪いと思っていたら、とうとう『何か』は実力行使に打って出た。

母が夜寝ていると、ドスンっと何かが布団に乗ってきた。
『え?』と最初は何が起きたのかわからなかったが、仰向けに寝ていた母は頭を上げるようにして自分の体に乗る何かを見ると、そこで目が合ったらしい。

そこには黒いもやのような煙のような塊があり、目の部分だけが人の目だったらしい。
そいつが、母と目を合わせてニヤァと笑い『イヒヒ』と笑ったらしい。

あと畳の部屋なんで押し入れあるんだが、その襖が何度閉めてもいつの間にか5㌢程、いつも開いているらしい。
そこはちゃんと閉めないと夜には誰かが覗いているらしく、たくさんの目が押し入れの隙間から覗いてるらしい。

洒落にならんと、あまりにも怖くなった母はしばらく友達の家に泊まらせて貰っていた。
その間、下宿に出ていた母の弟が戻ってきて、姉が言う事が本当かどうか確かめてやる!とばかりに母の部屋で寝てみる事に。

すると夜中、誰かのヒソヒソと囁き合っているような声で目が覚める。
『??』と不思議に思ってると、襖の横に布団を敷いていた叔父は襖の隙間からのぞく血走った目とばっちり目が合ったらしい。

うわあああああ!!!と思うやいなや、叔父は布団の上から伸びてきた手に思い切り首を絞められる。
物凄い力で絞められ、落ちて気づくと朝になっていたらしい…。

青ざめた叔父は、姉の言う事は本当だったんだ…と祖父母に真剣に相談。
祖父母は霊感はまったくないらしく、二人ともあの部屋に寝ても何も起こらなかった。

だが、大の大人になった母と叔父があまりにもビビってるので、仕方ないとお祓いをしてもらう事になった。
来てもらったお坊さんは、部屋を清めた後にこの霊現象の真意を教えてくれた。

今、母の兄が家督を継いで6代目なんだけど、初代の代からしばらくは家族や親族が亡くなると、お墓ではなく敷地内の裏庭に土葬で葬ってた。
その上に竹が群生して竹やぶになったんだけど、その竹やぶの隣がまさに母の部屋だったらしい。

当時は前の家が火事で焼けてしまい、新築した屋敷になっていたんだけど竹やぶの根っこが張り、地中に埋められた骨が押しやられて持ち上がったりして、今まさに母の部屋の真下に来ているらしかった。

ちゃんと供養してあげないせいで、ご先祖様たちは怒っている…という事らしかった。
それからしっかりとお祓いと供養をすると、心霊現象はおさまったらしい。

母はしばらくして結婚し、私を出産すると霊感は無くなってしまったらしい。
でも、母の霊感を受け継いだのか私はたまに見ます。前触れもなく突然に。

実話恐怖体験談!22(実質15)

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