ランドマークタワーの非常階段

横浜みなとみらいにランドマークタワーってありますよね。
あそこって、一定の階数以上はオフィスになっています。
私の大学時代の友人がNTTに勤めていまして、ランドマークの40階だかにオフィスがあるのです。

で、このランドマークタワー、高層ビルですから階の移動はエレベータなわけです。
1つ下にいくのだってエレベータ。
確か世界一早いんですよね。移動速度が。

でも、非常階段というのも当然ながらあります。
非常階段は、建物の中心にあり、廊下から重い扉をあけて階段室に入るそうです。
エレベータまで遠いフロアにいる人は、非常階段を使用して下のフロアに移動したりするそうです。

この非常階段は、夜の8時までしか使えないそうです。
8時を過ぎると廊下から階段室に入れはするものの、一旦扉が閉まると中からは開けられない。
そうなると大変です。
携帯電話で仲間に連絡して開けてもらうか、あいにく携帯が無い場合には、1階まで階段を降りていき、通用口から一旦出ないとならないそうです。(すいませんつづきます)

私の友人も、まぬけなことに、夜の10時にうっかり階段室に入ってしまい、しまったと思ったときには、既に扉が閉まったあとでした。
仕方がありませんから、覚悟を決めて階段を1フロアずつ降りはじめました。

10階も降りた頃でしょうか。
既に足はガクガク。心臓もバクバクです。
まだ30階もあるのかと気が遠くなって来た頃、誰かが、そのフロアの階段室の扉を開ける音がしたそうです。

彼女は、「助かった!」と、あわててと音がするほうに向かっていったそうです。
「すいません!!」と叫びながら。
案の定、階段室の扉は、いま誰かが開けた後のようで、一旦開ききった後、再び閉じ始めているところでした。

彼女はいそいで扉まで走っていき、まさに閉まる瞬間、ヒールをつっこんで、なんとか再び閉じ込められるのを阻止。
めでたく10階程降りたところで、廊下に出ることができたそうです。

扉でヒールが傷ついたことよりも、運良く廊下に出られたことがものすごく嬉しかったそうです。そのときは。
でも、彼女が恐怖を感じたのはそこからです。

まず、いま扉が開いたばかりなのに、開けたであろう人が下に見当たらない…。
ま、でも、廊下にはオフィスに入るための扉がたくさんありますから、自分が来るまでの間に近くの扉から中に入ったのだろうと….きっと、その人も、うっかり階段室に入りそうになったところで、時間が遅いことに気がついて入ってこなかったんだろうと。
いくらでも合理的な説明はつきます。

とにかく今は、自分のフロアに戻ろう。
そう考え、薄暗い廊下をエレベータフロアに向かって歩きだしました。

でも、ここでまた、なーんかおかしなことに気づいたんだそうです。
ランドマークの使用されているオフィスフロアには、廊下の壁に「41W1 NTT東日本」とかいう目印のプレートが張ってあるんだそうです。
どうもそういった会社を識別するプレートが見当たらない…

このフロア、空いてるのかな…不況だし…いやいや、じゃさっき扉を開けたのは誰なのよ….そういえばこの廊下沿いのフロア、なんか灯りがついていないじゃないの!!とにかくエレベータ…(ガクガクブルブル)

もうこうなると恐怖がとめられなくなり、全力で走ってエレベータフロアにたどり着いたとのこと。

やっとのことでたどり着いたエレベータホール。
8基のエレベータが両側にならぶ、いかにも近代的な光景です。

ランドマークのような高層ビルは、3階~35階、35階~45階というように、エレベータが分断されているようで、フロアによってはエレベータを乗り換える必要があるとのことです。

「えーと、40階にいくには、一旦3階まで降りないとね..」

と、下行きのボタンを押したのですが、反応が無い…..。
何度押しても反応が無い。
別のボタンを押しても反応が無い。
嘘~…..。この時点で彼女、半泣きだったそうです。
駄目押しに、上行きのボタンを押してみる…反応が無い。

前後左右に恐怖が押し寄せ、いまにも発狂せんばかり。
残された道は、もう1つしかありません。
階段室に戻って、ひたすら1階を目指す…。
この時点で本泣きだった彼女。
泣くことで、なんとか恐怖をやわらげつつ、いま出てきたばかりの階段室に戻ったそうです。

あとはひたすら薄暗い階段室を降りるばかり。
今度は疲れなんて一切感じなかったそうです。自分の足音が後ろから追いかけてくるようで、とにかく降りて降りておりまくった彼女。
叫びだしたいけど、そこは理性が働くようで、なんとか泣くことでそれを抑えたようです。

彼女によれば、フロアの鍵が開錠されていない状態では、ランドマークに勤める従業員専用のカードを差し込まないとそのフロアにエレベータを止めることができなくなっているとのことです。

多分、いろーんな偶然が重なっておきた出来事だったんでしょう。
ああいう近代的なビルは、フロアの人間が完全にいなくなり、施錠されたことが検知されると、防犯のためエレベータボタンが無効になるとか…。
扉を開けた人も、自分が最終退出だったことで、いそいで帰っていったとか….。

じゃ、なんのために扉を開けたのかと問われると、なんともいえなくなりますが…。
人それぞれ事情があるということで、彼女は自分を納得させています。

#長くてすんませんでした。
#ランドマークに勤めている人、気をつけてね。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 3

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