森の開けた場所でキャッチボールをしていると、まるで芸でも仕込まれたかの様に四頭の犬が、茂みから前足を胸の前にぴょこりと上げて二本足でよたよたと歩き出てきた。
茂みから出て五~六歩もすると申し合わせたかの様に四頭そろってばたりと倒れた。
面白がってみていると今度は四頭そろってムクリと起きあがった。
そしてまた二本足で歩きだした。
気のせいか、さっきより上手く歩いている様だ。
今度は十数歩歩いてから倒れた。
そんなことを繰り返しているうちに、気のせいではなく確かに足取りがしっかりとしてきた、今や早足程度の速度になっている、
しかも真っ直ぐこちらに向かってくる。
口から泡を吹きぜいぜいと喘ぐような音も聞こえてくる。
まだ小学校の高学年だった私は一年生だった弟を脇に抱えるようにして全速力で家を目指して走った。
その後ろからは地面を蹴りたてる複数の音が迫ってくる。
息を切らせて家に逃げ帰った私たちを見て母親が
またあの空き地で遊んだね
と冷ややかに言った。
当然の事だが空き地に忘れて来たグローブと軟球はしばらく取りに行けなかった…orz
山にまつわる怖い話18