ハイテンション

中学生のころ、何人かで友人の家に泊まったときのことです。
山村のことですので、そいつの家も山に抱かれた一軒家でした。

大騒ぎして、夜中にやっと寝付いたころ一緒に泊まった一人が寝言を言い始めました。
初めはムニャムニャ言っていたのですが、いっこうに終わらず、次第に言い方がはっきりしてきました。

そのうちいきなりハイテンションで「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!・・・」と叫びだしたのです。
さすがに、これは様子がおかしい。
皆でそいつを起こしました。

そいつは恥ずかしそうに「ああ、お前らが来てくれてよかった。」そしていきさつを話してくれました。

うとうとしていたら「寝た?」と声がした。
友達だと思って「いいや。」と答えたら知らない声が「ヒマか?」と聞いてきた。
一瞬「まずい」と思ったそうです。
今この部屋には、自分の知らない何かが来ている。自分を取り込もうとしている。

そのため、とっさにとった行動が、とにかく、相手に話の主導権を握らせないことでした。
そこで矢継ぎ早に、「お前はどこから来たのか」「ここに何をしに来たのか」「寒くないのか」「今頃迷惑だとは思わないのか」・・・
思いつくままに、相手の答えも聞かずにしゃべり続けたそうです。

挙句に、言うことが尽きてしまい
「どうなんだ?ハイ、答えて!ハイ!ハイ!・・・」

これには皆大笑いしましたが、本人は大真面目でした。
夢かもしれないし、本当かもしれない、いろいろといますから。

山にまつわる怖い話19

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