ボロボロの洋服、顔の半分はただれ、半分しかみえず虚ろな右目だけが確認できる。
千切れかけた腕からは赤黒い肉。
はがれ落ちかけた下着からこぼれる、垂れ下がった乳房は乳首がない。
足は、、足首から下がなかった、くるぶしの辺りで立っていた。
その時、確かに目の前にそいつが・・・
ここは福岡県、某心霊スポット、今では閉鎖されてる。
友人数人と真冬の肝試しと称してでかけた。
というか完全に暇つぶし。
俺はホラーが大好きで特に日本のC級ホラーが大好き。
多分、ツタヤに入荷されているそっち系のはほぼ全部毎月借りてる。
霊感なんてない。勘は働くほうと思うけど。
連れも霊感なんてないと思うし、ここは有名スポット何度か来た事がある。
冬だからか他に肝試しに来てるよな奴はおらず自分たちだけだった。
現地につき、車から降り歩いてると突然の尿意。
「しょんべん、先に行ってて」
先に行ってもらう、急にあたりは静まりかえる、流石に一人きりになると暗いというか怖い。
路肩でさっさと用を済ませチャックをしめ、みんなのところへ行こうへ向かおうと方向転換すると
暗闇に彼女がいた。
「っっtぅ~~ーーーーー」
悲鳴を上げそうになる。しょんべんしてなかったらちびってたかも。
心臓が高鳴りでも、体が動かない、腕も、脚も頭も、指先も。
やばいやばいやばい、やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
幽霊でも生きててもこの状況はやばい。
少しずつ、少しずつ、彼女はこちらにむかってくる。
目はうつろだけど、半分しかない口の口角はあがってる。笑ってる?
今、できる事は、、できる事は、、目をつぶる!
なんであんなものが見えるんだ、どうしてなんだ。ありえないだろう。馬鹿かアホカ!!!
どうするどうするどうする・・・・・
完全にパニック。極限に達した時、瞬間、何か思い出す。
見える?本当に見える?
学生時代のある先生の言葉を思い出す。
「貴方が見えてるものと私がみえてるものは違うかもしれない。」
五感は騙されやすく、思い込みで何とでもなるという話だった。
みんなが同じものをみて、聞こえてるかを比較し比べる手段はない。
だから、沢山の言葉で伝える事も大切なんだよという話。
そうだ、何かが目の前にいるかもしれないが、それは目の前のものを私の脳が解釈し作り上げた映像なのだ。
妙に落ち着いた俺は心の中で唱えだす。
「美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸美人の裸綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗綺麗おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい・・・」
全妄想力を傾け百回以上は唱えただろう。
意を決して目を見開く。
まだ、彼女はそこにいた。
正確には裸のそこそこ綺麗な女がそこに立っていた。
うはははははははははwwwwwwwwwwwwwwwwww
違う意味で頭が飛びそうになった。
彼女はもう手が届くところまで迫っている。
もう、どっちに転んでも・・・・
さわりたい!!!!
金縛りは解けていなかったが右手に力をこめ、切れるような痛さを感じながら右手を挙げた。
彼女が迫ってくる。そして右手が彼女の乳房に触れると彼女は霧散した。
触った瞬間、ミストみたいな感じはあった。
そして金縛りは解けた。
そのあと、連れに話したけど、エロ妄想酷過ぎ、たまってんじゃねーの?
とか言われる始末。最初はかなり怖かったのにさ。
そのあと、数年間、霊的なエネルギーが見えるようになったのだが、まぁ、楽しかった。
そして今は全く見えなくなった。
思うのだが、貞子が流行ると貞子タイプ、呪怨が流行ると呪怨タイプの怪談がでてくる。
結局はそういう事なんじゃないかなと。
完
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?280