ふわふわ浮かぶもの

人間の幽霊を見たという不可思議体験はあまた耳にするが、私が経験したこれはどう解釈したものか、全く理解できないことです。

小学生の頃、姉とその友人二人の計4人で警察学校の庭で遊んでいたときのことだった。
夕方ではあるがまだ明るい時間だったが、一人が「あれ?何?」と見上げている。

見ると、何だか茶色い50センチくらいのやや長方形の物体が木の天辺あたりにふわふわ浮かんでいるのだ。
高さ約10mくらいだったか。

初め風船かと思った、しかし、それは上昇もせずかといって落ちもせず、ただふわふわゆっくり上がったり下がったりして漂っていた。
それに風船にしてはやや細長いしこげ茶色だし、球体ではない。

私は何だか確かめたくて当たれとばかりに石を投げた、が遠すぎてあたらない。
他の三人もそれを見ていたが、やがて飽きて去っていき、私だけがひとりずっと見上げていた。

そのふわふわした物体はゆっくり上がったり下がったりしていたが、ゆっくり下がったときにそれを見て愕然とした。
なんとそれは猫らしきものだったのだ。
下からは背中が見え、頭はあったのか無かったのか両前足の間に曲げているようで見えなかったが、はっきりと両肩と前足のらしきものが見えた。

と、その瞬間にまたそれはすうっと上昇し、よく見えない高さまで上がっていった。
子供ゆえそれ以上の追求はやめ、そのまま帰宅してしまったが帰る道すがら、かなり遠くから見たときまだふわふわ浮かんでいたのをよく覚えている。

四人で見えたのだから幻覚ではない。
猫ではあったと思うが、もちろん自然に浮かぶわけが無いので、いたずらで毛皮にヘリウムガスを詰めて浮かばせたのだろうか?
しかし何のために?
しかし、毛皮の重さと容積では浮かぶはずが無い。
木の天辺より高いいちまで浮いていたので吊るすことはできないはずだ。

物理的には説明できないなぞだ。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 11

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