漂着した変なもの

海の話です。

日露戦争に従軍したバルチックじいさんによる話です。

バル爺は、衛生兵として従軍したので、退役後、医師のいない漁村で、骨折や外科治療などのさい多大の貢献をしてくれました。沈着冷静な人で、また、「合理的な」人で人望もありました。

対馬沖海戦に従軍したのが彼の話の白眉ですが、怪談ではないのでここでは触れません。
おなじ水兵に島根県浜田市出身のものがいて、砲兵だったそうです。
その水兵が言うには、戦争が始まってすぐ、海岸に変なものが漂着したそうです。

海岸から漂ってくる異臭から鯨でも漂着したか?と海岸を探していみたら、10メートル程度の長細いものが漂着していました。
それは、前半部が金属製の円錐形(正確には、砲弾のような形だったと)であり、後ろ半分が、生(動物のような有機物という意味でしょう)だったそうです。
その部分は、長い二股にわかれた触手のようなもので、青白く変色(元の色かも)していました。

全体の形から「イカ」ではないかと発見した漁民は考えたようですが、前半部が金属で(叩くとキンキンと金物の音がした)イカではないだろう:という話だったそうです。
腐敗臭がしていましたが、その異臭は金属の部分からしていて、ナマの部分は無臭だったそうです。

警察と軍隊が来て、東京から偉い先生(研究者でしょう)が来て検分しました。
地元民はまったく近寄れなくなって、2日ほど海岸で灯りをつけて調べて、ソレは、きれいに持ち去られたということでした。
朝鮮半島に近い海岸地域は、ロシア艦隊への警戒線であったため、厳しく緘口令がひかれて、その後の警戒も厳しくなったということです。

海にまつわる怖い話・不思議な話19

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