出土品

俺の通っていた小学校であった話なんだがちょっと聞いて欲しい。

その小学校は山を削って作った新興住宅地の真ん中に建っており、俺が小学校4年の時に出来た真新しい学校だった。
開校して約1年、俺が5年生の時の話だ。

このあたりの小学校にはグランの端っこに砂山と呼ばれる。
高さ3メートルくらいの土砂で作った山を作るのが通例となっており、もちろんこの学校にも作ってあった。
本来、登ったり駆け下りたりして遊ぶ物なのだが、ある時、生徒の一人がいろんな物が埋まっているのを発見し、たちまち発掘作業が俺達の休み時間の楽しみとなった。

出てくる物
木片のようなもの    木と呼んでいた
陶器の破片       セトモノと呼んでいた
古銭          昔のカネと呼んでいた

中でも古銭が一番人気で、掘り出したら筆入れの中に大切に保管していた。
たくさん貯まってくると、自分達のコレクションを見せ合ったりしてみんなで楽しんでいた。
いつまでもそんな時間が続いて行く事を疑ってすらいなかった。

そんなある日の休憩時間、事件は起こった。
「なんかこの石四角くねぇ?」
俺は発掘作業中に突き当たった大きな石を掘り出しかけて奇妙な点に気付いた。
その石は平面と90度の角、直線によって構成され、どう見ても自然のものには見えなかったのである。

「おわー四角い四角い」
近くで発掘作業中の友人二人が食いついてきた。
「一緒に掘り出そうぜ」
「おっしゃー」
小学生のテンションは高い。
作業が進むに従って石の表面には文字が刻んであることが判明する。
小学生に読めるような書体ではなく意味は解らなかったが、3人とも気付いていた墓石だったのである。

「うげーーー」
俺達は先生に報告しようと教室に向かって走り始める。
走りながら出土品が脳内変換されていく。

古銭→六文銭(三途の川の渡し賃として墓に入れるヤツ)たまたま親に聞いて知っていた
陶器の破片→割れた骨壷
木→・・・・・・人骨・・・?

なぜおかしいと思わなかった。
金を土の中に埋めるヤツがいるのか?それも大量に陶器の破片はなんで全部白いんだ?
土に長い間埋っていた木がボロボロになってないわけ無いじゃねぇか。
自分たちの馬鹿さ加減に呆れながらも俺達は校庭を駆け抜け、先生に報告した。

次の日、出土品は全て学校側が回収。
砂山の石は表面に露出している物だけ用務員さんが掘り出して軽トラに積んでどっかに持って行ってしまった。
ほとんど墓石だったらしい。

学校の立っている場所は昔は山だったのだが、山麓の集落の墓地になっていたようで整地作業の時、まとめてぶっ潰して余った土砂で砂山を作ったらしいとの事。
全くいい加減な業者である。

その小学校はどうしたかって?
まだちゃんと有りますよ。
砂山も・・・
中にはまだ沢山の墓石とか人骨が埋まっているはず。

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